【Web版】無華の花嫁2~花開く乙女は、お妃教育の先で黒薔薇の殿下に溺愛される~

「あけましておめでとうございます!」
「あけましておめでとーございます!」
「あ……あけましておめでとう、ございます」

暁臣様が宮中の重要な新年行事へ登城された、穏やかな午後。
今日は信子さんが、まだ幼い二人のお子さんを連れて、このお邸へ遊びに来てくださった。

「あの、これ……よかったら、受け取ってください。……お年玉、です」

暁臣様が「今日のために用意しておくといい」と、中身だけでなく、可愛らしい模様が描かれた和紙のポチ袋まで、揃えてくださっていた。
少しだけ緊張しながら、小さな二つの包みを差し出す。

二人の子どもたちの、紅葉のような小さな手。
壊れ物を扱うみたいに大事そうに、そっと受け取ってくれる。

「わーい!!お姉ちゃん、ありがとうございます!」
「ありがとーございますっ!!」

満面の笑みで飛び跳ねる姿を見て、ようやく私の胸のつかえが下りた。
——よかった。喜んでくれた。失礼ではなかった。間違っていなかった。

一昨日、祝賀会から戻った夜。
暁臣様から、私自身も『お年玉』を頂いた。
その時初めて、新年に目上の者から年少者へ贈る、この風習を知った。

目の前で瞳を輝かせる子どもたちの無邪気な様子を見ていると、これは子どもだけに許された特権のような気もしてくる……。
それを私にくださると言うことは——やはり、私は暁臣様からしたら、まだまだ子どもなのかもしれない。
そう思うと少し悔しいのに、同時に、胸の奥がふわりと温かくなるのが不思議だった。

「すみれお嬢様……。子どもたちにまで、このようなお気遣いをいただき、本当に申し訳ありません」
「いえ、そんな。……喜んでもらえて、私の方こそ嬉しいんです」

暁臣様が「おもてなしにこれも出すといい」と、事前に用意してくださっていた飲み物を一口含む。
透き通った水に、白い液体を溶かしたような不思議な色。
牛乳よりもずっと軽やかで、口に含んだ瞬間、初めて感じる爽やかな酸味と、優しい甘さが広がった。
ふわりと立つ香りが、鼻に抜けていく。

「これ、おいしーね!」
「ふふ……本当ですね。とっても、不思議な味がします」