まだ日が昇りきる前。
しんと静まり返った真冬の夜気に、廊下を渡るせわしない足音や、邸の者たちが慌ただしく動く気配が溶け込んで、自然と目を覚ました。
窓に目をやると、外の世界はまだ深い群青色の闇に沈んでいる。
ゆっくり身体を起こし、冷えた空気に晒されないよう厚手の羽織物を肩まで引き上げる。
良かった……。
これほど大きな行事を前にして、一睡もできなかったらどうしようと案じていた。
けれど思ったより深く眠れた、その事実に安堵の吐息が漏れる。
とはいえ、このまま起き上がって動き出していいのか判断がつかない。
羽織の襟元をぎゅっと握り締め、しばらく立ち尽くした。
コン、コン、コン——。
「すみれお嬢様。お目覚めでしょうか。入ってもよろしいですか」
「は、はいっ!どうぞ!」
聞き慣れた柔らかな声とノックに、慌てて返事をする。すぐに扉が開いた。
「信子さんっ!」
「明けましておめでとうございます、すみれお嬢様。よくお休みになれましたか?」
「あ、明けましておめでとうございます。あの……でも、どうして……信子さんが?」
「殿下から、今日はお嬢様のお手伝いをするようにと、頼まれたんですよ」
こんな重要な日にまで、私のために信子さんを呼んでくださるなんて。
暁臣様のどこまでも深い配慮に、さきほどまで心細さで沈みかけていた心が、ふわりと浮き上がる。
「ありがとうございます……。信子さんがいてくださるなら、心強いです」
「いいえ。さあ、まずは朝ご飯をいただきましょうね」
「あ、あの、暁臣様は……」
「え?」
問いかけると、信子さんは少しだけ意外そうに目を丸くした。
しんと静まり返った真冬の夜気に、廊下を渡るせわしない足音や、邸の者たちが慌ただしく動く気配が溶け込んで、自然と目を覚ました。
窓に目をやると、外の世界はまだ深い群青色の闇に沈んでいる。
ゆっくり身体を起こし、冷えた空気に晒されないよう厚手の羽織物を肩まで引き上げる。
良かった……。
これほど大きな行事を前にして、一睡もできなかったらどうしようと案じていた。
けれど思ったより深く眠れた、その事実に安堵の吐息が漏れる。
とはいえ、このまま起き上がって動き出していいのか判断がつかない。
羽織の襟元をぎゅっと握り締め、しばらく立ち尽くした。
コン、コン、コン——。
「すみれお嬢様。お目覚めでしょうか。入ってもよろしいですか」
「は、はいっ!どうぞ!」
聞き慣れた柔らかな声とノックに、慌てて返事をする。すぐに扉が開いた。
「信子さんっ!」
「明けましておめでとうございます、すみれお嬢様。よくお休みになれましたか?」
「あ、明けましておめでとうございます。あの……でも、どうして……信子さんが?」
「殿下から、今日はお嬢様のお手伝いをするようにと、頼まれたんですよ」
こんな重要な日にまで、私のために信子さんを呼んでくださるなんて。
暁臣様のどこまでも深い配慮に、さきほどまで心細さで沈みかけていた心が、ふわりと浮き上がる。
「ありがとうございます……。信子さんがいてくださるなら、心強いです」
「いいえ。さあ、まずは朝ご飯をいただきましょうね」
「あ、あの、暁臣様は……」
「え?」
問いかけると、信子さんは少しだけ意外そうに目を丸くした。



