夜が深く更けるころ。
静まり返った街の遠くから、重厚な除夜の鐘が、遠くから響いてくる。
明日に控えた祝賀会へ向け、邸内にはどこか浮足立つ気配と、心地よい緊張が混ざり合って漂っていた。
ほんの一年前——。
私は暁臣様に救われ、このお邸へ連れてこられた。
あの日から、もう一年。
激動の日々を振り返れば、信じられないほど遠い昔のようでもあり、つい昨日のことのようでもある。
正直に言えば、保護されたばかりの頃の記憶は、寝込むことが多かったせいか、朧気な部分が多い。
けれど意識の断片に刻まれているものは、どれも私の心を柔らかくする。
凍えた身体に染み渡ったお粥。
目が覚めるような甘酸っぱい梅干し。
私の虚弱な体調を慮って、年越し蕎麦の代わりに暁臣様が用意してくださった、柔らかなおうどん。
初めて口にした、あんこ時なこのお餅の甘み。
まるでお伽話の宝箱のようだった、色とりどりのお節料理。
「……食べ物のことばかり思い出してる」
「ん?どうした」
「あ……いえ!なんでも……なんでもありません……っ」
自分の食い意地が張っているみたいで、急に恥ずかしくなって俯く。
けれど、その記憶の向こう側には——いつだって暁臣様のお姿があった。
目の前に置かれた、湯気の立つ温かな器。
たっぷりのねぎに、薄く色づいた桃色の肉。
芳醇なお出汁の匂いに混じって、柚子の清涼な香りが、鼻先をくすぐる。
静まり返った街の遠くから、重厚な除夜の鐘が、遠くから響いてくる。
明日に控えた祝賀会へ向け、邸内にはどこか浮足立つ気配と、心地よい緊張が混ざり合って漂っていた。
ほんの一年前——。
私は暁臣様に救われ、このお邸へ連れてこられた。
あの日から、もう一年。
激動の日々を振り返れば、信じられないほど遠い昔のようでもあり、つい昨日のことのようでもある。
正直に言えば、保護されたばかりの頃の記憶は、寝込むことが多かったせいか、朧気な部分が多い。
けれど意識の断片に刻まれているものは、どれも私の心を柔らかくする。
凍えた身体に染み渡ったお粥。
目が覚めるような甘酸っぱい梅干し。
私の虚弱な体調を慮って、年越し蕎麦の代わりに暁臣様が用意してくださった、柔らかなおうどん。
初めて口にした、あんこ時なこのお餅の甘み。
まるでお伽話の宝箱のようだった、色とりどりのお節料理。
「……食べ物のことばかり思い出してる」
「ん?どうした」
「あ……いえ!なんでも……なんでもありません……っ」
自分の食い意地が張っているみたいで、急に恥ずかしくなって俯く。
けれど、その記憶の向こう側には——いつだって暁臣様のお姿があった。
目の前に置かれた、湯気の立つ温かな器。
たっぷりのねぎに、薄く色づいた桃色の肉。
芳醇なお出汁の匂いに混じって、柚子の清涼な香りが、鼻先をくすぐる。



