暁臣様の声は静かなのに、逃げ道を塞ぐみたいに真っすぐだった。
隠しても、いずれ榊原様から伝わる。
それなら——私の口から言うべきかもしれない。
百合に言われたことを、どう聞くべきだろうか。
私に必要な真実であれば、暁臣様は隠さずに教えてくれるはずだ。
逆に、言わないと言う選択を暁臣様がしているのだとしたら。
それは、私の傷つきやすい心を案じて、敢えて伏せてくださっているのかもしれない。
それでも——。
もし、本当に私に『華』を奪うような恐ろしい力があるのだとしたら。
知らないうちに、また誰かを不幸に陥れてしまわないように。
私は、真実を知る義務がある。逃げたら、同じことを繰り返す。
「……街で、妹の百合に会ったんです」
「何!?またあいつら、すみれに接触を……。あれほど警告したと言うのに」
「いえ!きっと偶然です……。百合は、病院に通っていると言っていました。それに……」
『奪った』と、百合は言った。
『返せ』と、叫んだ。
——その言葉を思い出した瞬間、私の喉がひゅっと縮む。
暁臣様の眉間に、深い皺が刻まれる。
暖炉の火の揺らぎが、その険しさをいっそう際立たせた。
「暁臣様。……百合に、今、何が起きているのか。……すべてを、教えていただきたいです」
私がそう言うと、暁臣様は一度だけ目を伏せた。
それから、ソファに深く腰を下ろし、両肘を膝に乗せる。
火の光が、彼の瞳の奥に複雑な陰影を落とした。
隠しても、いずれ榊原様から伝わる。
それなら——私の口から言うべきかもしれない。
百合に言われたことを、どう聞くべきだろうか。
私に必要な真実であれば、暁臣様は隠さずに教えてくれるはずだ。
逆に、言わないと言う選択を暁臣様がしているのだとしたら。
それは、私の傷つきやすい心を案じて、敢えて伏せてくださっているのかもしれない。
それでも——。
もし、本当に私に『華』を奪うような恐ろしい力があるのだとしたら。
知らないうちに、また誰かを不幸に陥れてしまわないように。
私は、真実を知る義務がある。逃げたら、同じことを繰り返す。
「……街で、妹の百合に会ったんです」
「何!?またあいつら、すみれに接触を……。あれほど警告したと言うのに」
「いえ!きっと偶然です……。百合は、病院に通っていると言っていました。それに……」
『奪った』と、百合は言った。
『返せ』と、叫んだ。
——その言葉を思い出した瞬間、私の喉がひゅっと縮む。
暁臣様の眉間に、深い皺が刻まれる。
暖炉の火の揺らぎが、その険しさをいっそう際立たせた。
「暁臣様。……百合に、今、何が起きているのか。……すべてを、教えていただきたいです」
私がそう言うと、暁臣様は一度だけ目を伏せた。
それから、ソファに深く腰を下ろし、両肘を膝に乗せる。
火の光が、彼の瞳の奥に複雑な陰影を落とした。



