「……こんな所で、何をしてるのよ」
「百合こそ……どうして、ここに……」
榊原様が私を庇うように一歩前へ出た。
信子さんも私の隣で警戒するように身構える。
その気配が心強いはずなのに、身体の芯は冷えたままだ。
百合は二人を一瞥しただけで興味を失ったように鼻で笑い、再び私へ憎悪の混じった視線を戻した。
その視線が、次に射抜いたのは——私の腕の中に抱えられた『贈り物』だった。
「百貨店でお買い物、よね。……随分、いい身分じゃない。こちらは、病院通いを強いられていると言うのに」
胸が締めつけられるように苦しくなる。
先ほどまで嬉しかった包みの感触が、急に重く、鉛のように感じられた。
言い訳を探そうにも、喉が癒着したように言葉が出てこない。
私が答えを探して立ち尽くしている間に、百合は容赦なく一歩、距離を詰めてくる。
近づくほど、棘が鮮明になる。
「病院……?」
「……しらばっくれて!『無華』の分際のくせに、私の『赤薔薇』の『異能』を奪い取ったくせに!!」
「……え?」
その言葉が、冷たい空気よりも鋭く胸に突き刺さった。
あんなに賑やかだった街の音が、一瞬で遠ざかったような錯覚に陥る。
世界が、静まり返る。
「……奪った……?私が?」
「よほど人の『華』が羨ましかったのね。本当に卑しいったらないわ」
私は奪ってなんていない。
そんな恐ろしいこと、考えたこともない。
必死に否定したいのに、喉の奥で言葉が絡まって声にならない。
『違う』の一言が、どうしてこんなに遠いのだろう。
『あれ以降、『赤薔薇』の発火は完全に消えたそうだ』
以前、暁臣様が淡々と仰っていた言葉が、呪いのように蘇る。
確かに——百合の力は消えたと言っていた。
「百合こそ……どうして、ここに……」
榊原様が私を庇うように一歩前へ出た。
信子さんも私の隣で警戒するように身構える。
その気配が心強いはずなのに、身体の芯は冷えたままだ。
百合は二人を一瞥しただけで興味を失ったように鼻で笑い、再び私へ憎悪の混じった視線を戻した。
その視線が、次に射抜いたのは——私の腕の中に抱えられた『贈り物』だった。
「百貨店でお買い物、よね。……随分、いい身分じゃない。こちらは、病院通いを強いられていると言うのに」
胸が締めつけられるように苦しくなる。
先ほどまで嬉しかった包みの感触が、急に重く、鉛のように感じられた。
言い訳を探そうにも、喉が癒着したように言葉が出てこない。
私が答えを探して立ち尽くしている間に、百合は容赦なく一歩、距離を詰めてくる。
近づくほど、棘が鮮明になる。
「病院……?」
「……しらばっくれて!『無華』の分際のくせに、私の『赤薔薇』の『異能』を奪い取ったくせに!!」
「……え?」
その言葉が、冷たい空気よりも鋭く胸に突き刺さった。
あんなに賑やかだった街の音が、一瞬で遠ざかったような錯覚に陥る。
世界が、静まり返る。
「……奪った……?私が?」
「よほど人の『華』が羨ましかったのね。本当に卑しいったらないわ」
私は奪ってなんていない。
そんな恐ろしいこと、考えたこともない。
必死に否定したいのに、喉の奥で言葉が絡まって声にならない。
『違う』の一言が、どうしてこんなに遠いのだろう。
『あれ以降、『赤薔薇』の発火は完全に消えたそうだ』
以前、暁臣様が淡々と仰っていた言葉が、呪いのように蘇る。
確かに——百合の力は消えたと言っていた。



