けれど、自分を守るために、暁臣様が注いでくれる真心を疑うようなことだけはしてはいけない。
彼はいつだって、私に対してどこまでも誠実であろうとしてくださるのだから。
「何より。俺がすみれを妃に迎えると言う決意は、何があっても変わらない」
「……はい」
「すみれ。……お前は、本当に美しい」
胸が、きゅう、と音を立てそうになる。
その言葉を、まだ素直に受け取れないのは、私の中に『自分への信頼』が欠けているからだ。
いつか、堂々と『ありがとうございます』と言えるような自信を持てるのだろうか。
私は、まだ自分のことが信じられない。
けれど——そんな私を『美しい』と言ってくれる暁臣様のことは、誰よりも信じられる。
その視線が嘘でないと、あの声が偽りでないと、心が知っている。
そうやって、まず彼の言葉を信じることから。
一歩ずつ積み上げていった先に、いつか自分自身に向けられる確かな誇りがあるのだと——今は願ってもいいのかもしれない。
季節の移ろいに合わせるようにして、日々の授業の内容も少しずつ彩りを変えていった。
扱う花の種類が増えれば、その香りを慈しむ心の余裕が、ほんの少しだけ生まれるようになる。
花を『覚えなければならないもの』ではなく、『愛でてもいいもの』として受け取れる瞬間が増えた。
書ける漢字が一つずつ増えるたび、復習を兼ねてその日の出来事を日記に綴るようになった。
暁臣様にいただいた鉛筆を握り、言葉を選ぶ時間が、私を少しずつ落ち着かせてくれる。
今日見聞きしたこと。嬉しかったこと。
ほんの少し、立ち止まりそうになったこと。
言えなかった言葉。言えた言葉。
遠い未来の私が見返した時、この足掻いた日々が無駄ではなかったと——少しでも思えるように。
「……なんだか、自分に宛てた手紙みたい」
未来の私が、今の私を振り返って、がっかりしてしまわないように。
いつか迷った時の私が、この日記を開いて、ほんの少しでも息をつけるように。
『あの時も怖かったけれど、それでも進めた』と、思い出せるように。
そんな風に、自分自身の明日を肯定的に捉えられるようになってきた。
信じられないほど小さな変化なのに、確かに私の中で何かが育っている。
彼はいつだって、私に対してどこまでも誠実であろうとしてくださるのだから。
「何より。俺がすみれを妃に迎えると言う決意は、何があっても変わらない」
「……はい」
「すみれ。……お前は、本当に美しい」
胸が、きゅう、と音を立てそうになる。
その言葉を、まだ素直に受け取れないのは、私の中に『自分への信頼』が欠けているからだ。
いつか、堂々と『ありがとうございます』と言えるような自信を持てるのだろうか。
私は、まだ自分のことが信じられない。
けれど——そんな私を『美しい』と言ってくれる暁臣様のことは、誰よりも信じられる。
その視線が嘘でないと、あの声が偽りでないと、心が知っている。
そうやって、まず彼の言葉を信じることから。
一歩ずつ積み上げていった先に、いつか自分自身に向けられる確かな誇りがあるのだと——今は願ってもいいのかもしれない。
季節の移ろいに合わせるようにして、日々の授業の内容も少しずつ彩りを変えていった。
扱う花の種類が増えれば、その香りを慈しむ心の余裕が、ほんの少しだけ生まれるようになる。
花を『覚えなければならないもの』ではなく、『愛でてもいいもの』として受け取れる瞬間が増えた。
書ける漢字が一つずつ増えるたび、復習を兼ねてその日の出来事を日記に綴るようになった。
暁臣様にいただいた鉛筆を握り、言葉を選ぶ時間が、私を少しずつ落ち着かせてくれる。
今日見聞きしたこと。嬉しかったこと。
ほんの少し、立ち止まりそうになったこと。
言えなかった言葉。言えた言葉。
遠い未来の私が見返した時、この足掻いた日々が無駄ではなかったと——少しでも思えるように。
「……なんだか、自分に宛てた手紙みたい」
未来の私が、今の私を振り返って、がっかりしてしまわないように。
いつか迷った時の私が、この日記を開いて、ほんの少しでも息をつけるように。
『あの時も怖かったけれど、それでも進めた』と、思い出せるように。
そんな風に、自分自身の明日を肯定的に捉えられるようになってきた。
信じられないほど小さな変化なのに、確かに私の中で何かが育っている。



