独りぼっちの妖狐の娘は、一匹狼の龍神と結ばれる

「……うん。美味い」
「本当⁉︎やったー!」
 龍城(りゅうじょう)家別邸。
 私たちの家。
 あの火事の後、屋敷の修復の為に、別邸に移っていた。
「良かったですね、(ゆき)さま」
「ありがとー、花咲(はなさ)
 (ひじり)さまと真の意味で結ばれたことで、私は、心にゆとりができた。
 多分、ずっと誰かに愛されたいと思っていたからだろう。
「そんなに飛び跳ねるな。お腹に赤ちゃんもいるんだから」
 今、私のお腹の中には、赤ちゃんがいる。
 未来の、龍城(りゅうじょう)家の当主だ。
「分かってるよ」
 兄上が出世すると同時に、狐ノ上(このうえ)家は没落した。
 姉上も(りん)も、他家に嫁いだらしい。
 天罰が下ったのだろう、と(ひじり)さまは言っていた。
 もう、私には関係のない話だ。
 最近、手のひらを返したかのように手紙が送られてくるようになったけれど、全て無視している。
 私は、あの人たちを許せるほど優しくはない。
「……お腹の子、女の子らしいよ」
「名前は、(さくら)が良いな。春に生まれるだろう?」
「うん、そうだね」
 強くて、美しい子に育ってほしい。
 そして、いつか愛する人と結ばれるように……。
 私は、(ひじり)さまに向かって微笑みながら、そう静かに祈った。