独りぼっちの妖狐の娘は、一匹狼の龍神と結ばれる

(ひじり) side



 本当に突然だった。
 ふと木に目を向けた瞬間、その木が燃え始めたのだ。
 すぐに目を確認すると、真っ赤に燃える色をしていた。
 ……コントロールが、効かなくなっている。
 すぐに水を生み出して消火したけれど、衝撃は大きかった。
 それ以来、部屋を出られなくなった。
 今は眼鏡をかけて、なんとか抑えているけれど、これがいつまでもつか、分からない。

『あなたの霊力は、いつか抑えきれなくなるくらい強くなる。同じくらい強い霊力、または妖力の持ち主と真の意味で結ばれたとき、あなたの霊力はコントロールが効くようになってくるだろうね』

 いつだったか、街の占い師にそう言われたことがある。
 それから、俺は霊力の強い女を探すようになっていた。
 幸い、俺には霊力の強さがぼんやりと見えてた。
 後ろに、もやのようなものが見えるのだ。
 それが大きければ大きいほど、霊力は強い。
 色は、その人の人柄を表している。
 赤系の色は、平然と嘘をついたり、人をいじめたりする。
 青系の色は、心が綺麗な人が多い。
 そして見つけたのが、彼女だった。
 強い妖力をもっている。
 一目見て分かった。
 ……彼女と結ばれたら、俺の霊力はコントロールできるようになる。
 でも、真の意味で結ばれる、ということが、よく分からなかった。
 愛し合う、ということだろうか?
 ……彼女は、……(ゆき)は、俺を嫌っているだろう。
 なら、俺と(ゆき)が真の意味で結ばれることなんて、ないのか……?
 ……そんなことになったら、俺が(ゆき)と結婚した意味がない。
 彼女と真の意味で結ばれる為に、彼女を選んだのに。
「俺が、初めから、(ゆき)に優しくしていたら良かったのか……?」
 言葉を発すると火花が飛び散るから、なるべく話さないようにしている。
 ……仕方ないだろう。
 俺は、女が苦手だったから。
 昔から、俺の周りは、俺に媚びを売る女ばかりだった。
 甲高い声で話されて、不愉快だった。
 ……俺の母親は、俺のことが嫌いだった。
 俺が泣くと、周りで火花が飛び散ったり、物が浮いたりしたらしい。
 俺は、扱いにくい子どもだった。
 小さい頃から、母親に殴られていた。蹴られていた。
 暴言を浴びせられていた。
 ……父親は、俺に興味がなかった。
 基本的に龍城(りゅうじょう)家の人間は、他人に興味がない。
 でも、俺の父親以外は、自分の子どもや妻には優しかった。
 ……俺の父親は、他人に全く興味がない。
 母親のことも、俺のことも。
 俺は、ずっと孤独だった。
 俺の近くに寄って来る人間は、信じられないし、同じ一族の人間も信じられない。
 ……信じられる人が欲しい。
 ただ、それだけだった……。