独りぼっちの妖狐の娘は、一匹狼の龍神と結ばれる

 パリン、という音で目を覚ます。
 心臓が、どくどくとうるさい。
「あ、すみません、(ゆき)さま」
 どうやら、花瓶を落としてしまったようだ。
「ああ……、大丈夫なので、気にしないでください」
 使用人相手にも、敬語を使ってしまう。
「すぐ、片づけますから。動かないでくださいね」
 布団の中で、ぼんやりと考える。
 私は、本当にここにいて良いのだろうか。
 花咲(はなさ)さんも他の使用人の方々も優しい。
 狐ノ上(このうえ)にいた時よりも、ずっとマシだ。
 でも、ずっと迷惑をかけているような気がする。
「私は、龍城(りゅうじょう)にいても良いのかな……」
 そう思ってしまった。
 どうせ、この家を出ても、誰も気づかない。
 ……ことはないかもしれないけれど、追いかけはしないだろう。
「……一回、出てみようかな」
 花瓶を割った使用人が戻って来る。
 私は、誰にも気づかれないように、こっそりこの家を出る準備をした。
 その後、どこに行くかなんて、考えていなかったけれど。