独りぼっちの妖狐の娘は、一匹狼の龍神と結ばれる

(ひじり) side



「とりゃ」
 庭のほうから声がする。
 妖術の訓練だろう。
 ……まあ、妖術が使えるようになってもらわないと困る。
 初めて会った時、彼女からとても強い妖力を感じた。
 でも、それを上手く使えてはいないのだろう、とも。
「そうです!上手です!」
 少し強いことを言ってしまったかもしれないが、それが本心だった。
 ……それに、あの家の者は、彼女を大切にはしていない。
 彼女にこれ以外の道がないことを利用した。
 彼女からすれば、最低な男だろう。
 それでも構わない。
 眠っていた才能が開花する瞬間が、俺は好きだった。
 ふいに、庭のほうを見る。
 …………っ!
 綺麗だ、と思った。
 彼女の後ろに見える空色の妖力も、彼女自身も……。
 誰かを好きになったことなんてない。
 いつも独りだった。
 孤独だった。
 誰かと一緒にいる強さがなかった。
 ……俺の術は、他の人よりも強かった。
 そのせいで、たくさんの人を傷つけた。
 ……俺と同じくらい強い力の人と出会いたい。
 もしかしたら、彼女なら……。