私の居場所は、大好きなみんなが過ごす世界でした

「みんなって、今年中にやりたいこととかあるの?
今年は残り二週間程。

「特に何もないかな。陽菜は何か考えてる?」
そう訪ねた晴翔に続いて、二人も私に視線を向ける。

「私は色々考えてみたんだけど、やっぱり、小説の執筆をやりたいなと思ってるよ」
ずっと口だけで行動に移せてなかったけれど、来年こそは挑戦したい。

「前にも言ったもんな。陽菜ならできるよ」
蘭が覚えててくれたみたいで、また背中を押してくれた。

「ありがとう。頑張ってみる」
蘭に言われたからには、先延ばしにはできないな。

◇◇◇

カチャ。
外出中の優斗を三人で待っていると、ドアが開く音が聞こえた。

「おかえり。えっと……」
居間に、優斗と同じくらいの年齢の知らない男性も入ってきた。

「正樹だ。急に来ちゃって悪いな。陽菜に蘭に晴翔だよな。優斗から、聞いてる」
名乗ってから、私たちの名前を確認するように呼んだ。

正樹さんは、優斗のことを馴れ馴れしく呼び捨てで呼んでいるけど、何者なんだろう。
二人はどんな関係なの。

「正樹は陽菜たちが来る前に、ここに迷い込んできたアニメキャラクターだ。しばらく来てなかったけど、今日、俺の誕生日だからって来てくれて」

「優斗。今日、誕生日だったんだね。おめでとう」
優斗の誕生日が今日だということは知らなかった。
でも、正樹さんがそれを知っているということは、結構親しいのだろう。

優斗は、嬉しそうな表情で頷いた。

「何年か来れなかったけど、また来るかな。仲間が増えたみたいだしな」
仲間って、私たちのことなんだよね。
でも、どういう意味なんだろう。
色々なことが起きて、理解が追いつかない。

「みんなって、なんか呼び方みたいのないんだ?何とかメンバーとかみたいの」
正樹さんが急にそんなことを言い出した。

「ないな。あってもいいかも」
優斗がそう答える。
みんな考え込んで、誰も口を開かない。
物音だけが、静かな空間に響き渡る。

「離れないメンバーなんてどうかな?」
私は、沈思黙考した末その名前を導き出した。
前に蘭が私たちと離れたくないみたいなことを言っていたのを、思い出した。

「いいと思う。でも長いから、略して『ハナメン』とかって読呼んだらいいかも。どう?」
晴翔の提案に賛成という意味で首を縦に振った。

今日から正樹さんも入れ、五人は離れないメンバー、通称ハナメン呼ぶようになった。

◇◇◇

「なんか、こういう時間懐かしいな」
「確かに、そうだな。てか、あの時はごめん」
「気にするなって」
五人で読書会していると、正樹さんが急にそんなことを言い出す。

優斗は共感するような言葉を向けて謝るけど、私は何を言っているかわからない。
蘭と晴翔も会話についていけてない。

「ど、どうしたの?」
私は、驚きと困惑で声が震える。

「実は、俺が読書を嫌になったのは理由は、正樹と読書中に言い合いみたいになったことなんだ。それから疎遠になって、一昨日すごく久しぶりに会った」
優斗は言いづらそうに、正樹さんとのことを教えてくれた。

「もう解決したみたいなものだから、気にしてないんだけどな。陽菜、俺に読書のきっかけをくれてありがとう」
「私は何もしてないよ。ただ、自分が読書会したかっただけだから」