私の居場所は、大好きなみんなが過ごす世界でした

「陽菜って、どんな本読むことが多い?」
蘭と二人きりで読書していると、蘭が訊ねてきた。

今日は優斗も晴翔も用事があるみたいで、家にいない。優斗がいないなんて、初めてかもしれない。
四人で過ごすのが当たり前だったから、少し落ち着かない。けど、気まずくはない。

「切ない恋愛系が多いけど、ファンタジーとか読む時もあるよ。蘭はどんなの好きなの?」
「陽菜はジャンルの幅が広いな。俺は、読むなら恋愛要素はあまりない現代ドラマ系が多い」
もしかしたら、似たようなジャンルが好きかもしれないと根拠はなく直感的に思ったけど、的外れだった。

「そうなんだね。だったら、お互いのおすすめ紹介し合ったりするのは難しいかもしれないね」
「いや、俺は、陽菜がおすすめしてくれたものなら、なんでも読むけどな」
蘭は、何気なくそんなことを言い出す。

「えっ、どういうこと?」
私は、鼓動が速くなる。

「ごめん。なんでもないから気にしないで」
蘭は、微かに頬が紅潮していたように見えたけど、平然を装ったように返答した。

◇◇◇

「あのさ、これからもずっと一緒に過ごせるよな?」
今日も晴翔は来てなくて、優斗が部屋を出て二人きりになると、唐突に言ってきた。
でも、どうして二人きりの時になんだろう。

「蘭、なんでそんなこと聞くの?私は、当たり前にずっと過ごせると思ってるよ」
頭より先に、口が動いていた。
私はもう、みんなと過ごさない日常なんて考えられないのかもしれない。

「そんなんだけど、本音を言うと、陽菜たちと離れたくなくて。今までは一人でも平気だったのに、最近は落ち着かなくて晴翔に頼っちゃうんだよな。なんかごめん。こんなこと言って」
蘭が私たちのことを大切にしてくれていることを、改めて知れて嬉しくて安心した。

それと同時にしっかり者の蘭にも、そんな一面があるなんて少し驚きだった。

「じゃあ、一緒にいる時間増やせたらいいね。私はそんな蘭も嫌じゃないよ。だから、気にしないで」
私も、なにも隠さず本音を言った。
少しぐらい相手の弱みを見れる方が、大切な存在だと思ってるから。

◇◇◇

「陽菜、あの……」
四人で普通に過ごしていると、蘭が何かを言おうとしてきた。

「あっ、やること思い出した」
「じゃあ、ごゆっくり」

「ど、どうしたの!?」
蘭のそんな様子を見た優斗と晴翔は、それだけ言って部屋を出ていった。何処か、偽りの表情で。
私は、全く理解が追いつかない。

「陽菜」
蘭は、もう一度私の名前を呼ぶ。
でも、口を開かない。
俯いて、何かを考え込んでいる。
表情は強張っている。

「お、俺……。陽菜のことずっと好きだったんだ」
「えっ、えっ」

私は思わず、言葉にならない大きな声を上げる。
こ、告白だよね。
もしかして、優斗や晴翔の様子がおかしかったことも、蘭の言動がいつもも違ったのもことためだったのかな。

「ご、ごめん。急に。気にしなくていいから」
蘭は頬を赤らめて、私と目を合わせようとしない。

「私も、蘭のこと好きだよ」
私は、それだけを伝えた。
たくさん思うことはあったけど、揺れ動いた感情では伝えられなかった。

でも、これは本心だ。
蘭は私の小説執筆に向けて応援してくれて、私のことを大切と伝えてくれた。
今となって蘭は、推しや友達とは違う『好き』という気持ちができてる。

「本当に、俺なんかで……」
「本当だよ。これからは、いつもしない過ごし方とかも一緒にしようね」