猫先輩と俺


「だって痛いじゃないですか!」
「まだ触ってないよ」
「いや、“まだ”って。なんで触ろうとしてるんですか!?」

必死に訴え、俺は腕を隠すように勢いよく引っ込めた。


「何で逃げるの」
「めっちゃ怖いんで」

距離を取ろうとするけど、御影先輩は普通に近付いてくる。
しかもなんか笑ってるんだけど?
なんで楽しそうなの?怖すぎる。


「ごめんって。もう触らないから」

目を細めて笑う御影先輩。

……。
思い出すの絶対に今じゃないけど、御影先輩が猫だと言われたの思い出した。

たしかにその笑顔は猫っぽい。


「ほら、冷やしに行くよ」

俺が追われてたはずなのに、御影先輩はふわりと袴を靡かせて、返事も聞かずに巻藁部屋から出ていった。

え。今度は俺が追いかける側なの?


意味がわからないまま御影先輩の後を追う。