猫先輩と俺


「朝倉とか、幼なじみを優先する……」

御影先輩がふはっと笑った。
俺の好きな笑い方で。

「御影先輩が何考えてるかわかんない」


俺達はいつもタイミングが悪い。
聞きたいことが聞けない。

ちょうど駅に着いてしまった。

ここでお別れだ。


「そんなに難しい?」
「難しいです」

立ち止まったまま、御影先輩は駅の方に向かわない。

な、何故だ……?
顔を上げると御影先輩は優しく微笑んでいた。


「じゃあ夏休みまでの宿題」
「宿題?」
「俺が藤原にかまう理由」
「え?」
「わかったら教えて」

そう言って御影先輩は歩き出した。

え?ど、どーいうこと?
夏休みまで?宿題?

1ヶ月もないじゃん。

動揺している俺に、御影先輩は追い打ちをかけるように振り返った。


「正解だったらご褒美あげる」

その笑顔だけを残して、改札口に消えていく御影先輩の後ろ姿を見続けた。


ズルい。
あんな顔で言われたら期待するじゃん。