猫先輩と俺


俺は射場から出て見取り稽古をやめる。

弓を引く練習をしようと準備していると、渡邉が隣に来た。


「俺さ、藤原だけなのかと思ってた」
「何が?」
「御影先輩が笑うの」
「別に誰にでも笑うだろ。俺だって青木にも渡邉にも笑うし」

そんなの普通だし、当たり前。

「なんか機嫌悪い?」
「……別に」

そうは言ったもののイライラする。
いや、イライラ?モヤモヤ?わかんねー感情。


「ちょっとお茶飲んでくる」

気持ちを変えようと、更衣室に入った俺はカバンからペットボトルのお茶を取り出す。

「……」

ゆるっと笑う御影先輩のあの笑い方……好きだったのにな。

俺だけじゃなかったんだ。


ゴクゴクとお茶を飲み、再びカバンに入れようとしたところでキーホルダーのシマエナガがコツンとロッカーに当たった。