猫先輩と俺


だって今まで普通にスルーされてたよな?
あの変わりようは何?

話すことがなかったって言ったらそれまでだけど。


「それは“お気に”だからでしょ」

突然聞こえた声に振り向けば、自転車を持ち、今すぐにでも帰りそうな朝倉がいた。

おまえも1人かい。


「盗み聞きかよ」
「失礼ね。そんな声で話してたら聞きたくなくても聞こえてくるじゃない」
「てか何?お気にって」
「普通に考えてお疲れ様の言葉1つで3人に言えるものを、わざわざ名前呼ぶんだから気に入ってなきゃそんなことしなくない?」
「「確かに」」

青木と渡邉の声が綺麗にハモる。


「いいなー。先輩に気に入られるとか羨ましすぎる」
「そうなのか?」

青木が心底羨ましそうな顔をするから、そう聞いただけなのに「おまえ天然なの?」って返ってくるのはなぜだ。