無人島ライフ〜精霊たちと理想の島を開拓します〜

「あなたに、任務を与える」

この国の偉い人がそう言った。私は、アオ。

人間界ではないところに住んでいる、人間。

私は、旅人として度々任務を与えられる身だ。

魔物の討伐の時もあれば、自然の素材の採取の時もある。

「今回の任務は、無人島を立派な島にすること。しばらくしたら、評価をさせてもらう」

◇◇◇

「な、何もない!?」

手配された船で、現場である無人島にやってきた。

予想していたよりも本格的な無人島で、本当に何もない。誰もいない。

そして、雑草がたくさん生えて、植物も枯れ果てて本当に誰も管理していないということが伝わってくる。

少し歩いていくと、何かが見えた。

テントだ。でも、穴が空いていて雨漏りしそう。

ここが私の居住地ということなのだろう。海辺の近くのほうが帰る時に楽なのに。

って、私が帰るときは来るのだろうか。

そんなことより、早く任務を遂行しないと。

まずは食料探しだ。果物とかないかな。

「わあ、移住者さんだ。やったー」

そんなこと考えながら歩いていると、無邪気な女の子の声が聞こえてきた。

こんなところに幼い子供どころか、人っ子一人いないはずなのに。

「ウンディーネ、はしゃぎすぎですよ」

大人びた女性の声も聞こえる。

「えっ、えっ」

驚きすぎて、よくわからない声が出る。

「旅人さん、驚かせてごめんなさいね」

もう一度その大人びた声が聞こえたのと同時に、

小さくて、妖精のような見た目の女の子が二人姿を現した。一人は緑色で、もう一人は水色。

二人は宙に浮いている。

「えっ、えっと……。あなたたちは?」

私は言葉に詰まりながら、それだけ訊く。

「私は、木の精霊のドライアド。そして、隣は水の精霊ウンディーネ。旅人さんのお名前も教えてもらえますか?」

こんなところに精霊が住み着いてるんだ。

精霊自体は何回か見たことはある。

けれど、妖精のような見た目の精霊は初めてだ。

「アオだよ。私は、任務でここに来てるの」

「任務って?どんなことするの?」

ウンディーネが、興味津々な様子だ。

まるで、初めてみるものに目を輝かせる幼い子供のようだ。

「この島を立派にすることが目的みたいなんだけど、全く何からやっていいかわからないくて困ってて……」

旅人らしくない言動だけれど、こんな任務初めてで、嘘偽りもなく困っている。

そんな時、ぐぅーと私のお腹が鳴った。

「あら、アオさん。こちらをどうぞ」

「アオ、飲んで」

それを聞いた二人は、りんごと飲水をくれた。

◇◇◇

「あの、アオさん。一つ提案があります」

私がりんごを食べ終わって落ち着くと、ドライアドが落ち着いた声色でそう言ってきた。

「私たちに、その任務をお手伝いさせてもらえませんか?私からは先程のように、果物など森の素材を提供できます」

「私も、水あげたり、魚や貝などの海の幸とかをあげれるよ」

「それなら、よろしくお願いします」

私は即答して、素直に甘えさせてもらうことにした。

こんな素晴らしい提案を逃すほうが勿体ない。

それに、ずっと一人の生活だと、寂しい。

二人が居れば、明るく楽しい生活になるはず。

「私はまず、テントを直したりするから、ウンディーネとドライアドは、枯れた草木を潤すことお願いするね」

翌日から、本格的に島の片付けが始まった。

まず私は、自分の居住地であるテントの修復作業に取り掛かった。

昨日は、夜風が入ってきてゆっくりできなかった。

裁縫が得意なため、思ったよりすぐに終わらせることができた。

「今日は、このくらいにしようか」

もう辺りは暗くなり始めてる。

「そうですね」

一日かけて、二人のお陰もあり、島の半分に満たないくらいの範囲が綺麗になった。

「アオー。お腹すいたよ」

「そうだね。ご飯にしようか」

そして、私は大きな魔法の鍋を出す。

「アオさん、何かお手伝いできることありませんか?」

私が準備していると、気の利くドライアドが訊ねてくれた。

「じゃあ、ドライアドはりんごと香草をお願いできるかな?ウンディーネは水をお願い」

「はーい」

そう言うとすぐに、ウンディーネは手から水を出して鍋に入れてくれた。

「アオさん、持ってきました」

ドライアドが鍋にりんごと香草を入れると、ポコポコと鍋から音が聞こえてくる。

そして、光があふれた。りんごスープの完成だ。

「いただきます」

一口食べると、りんごの甘みが口のなかに広がった。

「アオ、おいしいよ」

「あの鍋、すごいですね」

二人がそれぞれ褒めてくれる。

「よかった。あの鍋は旅の相棒みたいで、素材をおいしくしてくれる魔法がかけられてるの」