「王太子妃殿下様!この度はご用命、誠にありがとうございます!!!」
さっそく呼びつけられたマダム・フルールの第一声に、思わず背筋が伸びる。
王妃と茶会をした翌日のこと。
「マタニティ・ドレスの準備は終わってまして?」
「!!わ、忘れてました!!」
「あら、大変……明日、わたくしからマダム・フルールに伝えておきますわ。お祝いに、好きなだけ仕立ててもらいなさい」
好きなだけって……エドの爆買い癖は、完全に王妃譲りか!?
「ご安心ください!この度はわたくし含め、口の堅いスタッフしか連れてきておりません!」
……本当かよ。あのドレスにトンチキな名前。信用ならな過ぎるんだけど!?
で、ちゃっかり隣に座ってる爆買い王子は……今回は何着作る気なんだろ。怖すぎる。
「さてさて!本題のマタニティ・ドレスでございますわね!!」
マダムが両手を広げると、侍女たちが一斉に布を広げて見せる。
「こちらは『母性の慈雨』ドレス。お腹を包みながらも軽やかに歩けるよう工夫しております!」
「そしてこちら、『生命の灯火』ドレス。胸元に宝石をあしらい、未来の輝きを象徴しております!」
……もう、名前のクセが強すぎる。
ていうか『生命の灯火』って、完全にRPGの回復アイテムじゃない!?
「……灯火、か。いい響きだ」
「やめろって!!名前の響きで即決すんな!!」
思わずテーブルを叩いた私をよそに、マダムはうっとりと目を細める。
「殿下が一言でも仰せになれば、それはもう天啓に等しいのです!」
……いや、だから。
突っ込む気力も削がれ、生地を手に取る。
淡いラベンダー、柔らかなアイボリー、空のように澄んだ水色。
胸下からふわりと広がるシルエットは、確かに動きやすそうだし、コルセットみたいに締め付けもない。
苦しさから解放されると思うと、ちょっとだけワクワクしてしまう自分が悔しい。
「リエルには、これが一番似合うと思う」
エドが迷いなく選んだのは、淡いブルーの生地。
陽光を受けると静かな湖面のように揺らめき、透明な輝きを宿している。
マダム・フルールが両手を打ち鳴らした。
「では『未来を抱く蒼穹』ドレスとして仕立てましょう!!!」
「だからネーミングどうにかしろってのーーッ!!」
私の絶叫をよそに、マダムはすでに次の布へと手を伸ばしていた……。
さっそく呼びつけられたマダム・フルールの第一声に、思わず背筋が伸びる。
王妃と茶会をした翌日のこと。
「マタニティ・ドレスの準備は終わってまして?」
「!!わ、忘れてました!!」
「あら、大変……明日、わたくしからマダム・フルールに伝えておきますわ。お祝いに、好きなだけ仕立ててもらいなさい」
好きなだけって……エドの爆買い癖は、完全に王妃譲りか!?
「ご安心ください!この度はわたくし含め、口の堅いスタッフしか連れてきておりません!」
……本当かよ。あのドレスにトンチキな名前。信用ならな過ぎるんだけど!?
で、ちゃっかり隣に座ってる爆買い王子は……今回は何着作る気なんだろ。怖すぎる。
「さてさて!本題のマタニティ・ドレスでございますわね!!」
マダムが両手を広げると、侍女たちが一斉に布を広げて見せる。
「こちらは『母性の慈雨』ドレス。お腹を包みながらも軽やかに歩けるよう工夫しております!」
「そしてこちら、『生命の灯火』ドレス。胸元に宝石をあしらい、未来の輝きを象徴しております!」
……もう、名前のクセが強すぎる。
ていうか『生命の灯火』って、完全にRPGの回復アイテムじゃない!?
「……灯火、か。いい響きだ」
「やめろって!!名前の響きで即決すんな!!」
思わずテーブルを叩いた私をよそに、マダムはうっとりと目を細める。
「殿下が一言でも仰せになれば、それはもう天啓に等しいのです!」
……いや、だから。
突っ込む気力も削がれ、生地を手に取る。
淡いラベンダー、柔らかなアイボリー、空のように澄んだ水色。
胸下からふわりと広がるシルエットは、確かに動きやすそうだし、コルセットみたいに締め付けもない。
苦しさから解放されると思うと、ちょっとだけワクワクしてしまう自分が悔しい。
「リエルには、これが一番似合うと思う」
エドが迷いなく選んだのは、淡いブルーの生地。
陽光を受けると静かな湖面のように揺らめき、透明な輝きを宿している。
マダム・フルールが両手を打ち鳴らした。
「では『未来を抱く蒼穹』ドレスとして仕立てましょう!!!」
「だからネーミングどうにかしろってのーーッ!!」
私の絶叫をよそに、マダムはすでに次の布へと手を伸ばしていた……。



