「神に愛されたクローバー家……とは、よく言ったものね」
アリエルが去った後、庭園の主が一人呟く。
アストリア王国で実しやかに囁かれる、クローバー家の異名。
あんなのはただの伝承、誰もが都市伝説だと笑う。だが、もし本当だったら?
卓上の紅茶。
角砂糖を落としていたカップを持ち上げ、隣の植木へと傾ける。
さらさらと溶け残りが流れ落ちた途端、草花がみるみる黒ずみ、萎れ、枯れ果てていく。
后妃は満足げに微笑み、手元のシュガーポットを侍女に渡した。
「処分しておいてちょうだい」
侍女は中身を悟り、震える手で受け取ると、深く頭を下げて下がった。
「新しいお茶もお願いできるかしら」
やがて新しい紅茶が運ばれる。后妃は一口含み、ゆっくりと目を閉じた。
「……わたくしの可愛いセシル。もう少しよ」
慈愛に満ちた母の顔で、遠くを見つめていた。
アリエルが去った後、庭園の主が一人呟く。
アストリア王国で実しやかに囁かれる、クローバー家の異名。
あんなのはただの伝承、誰もが都市伝説だと笑う。だが、もし本当だったら?
卓上の紅茶。
角砂糖を落としていたカップを持ち上げ、隣の植木へと傾ける。
さらさらと溶け残りが流れ落ちた途端、草花がみるみる黒ずみ、萎れ、枯れ果てていく。
后妃は満足げに微笑み、手元のシュガーポットを侍女に渡した。
「処分しておいてちょうだい」
侍女は中身を悟り、震える手で受け取ると、深く頭を下げて下がった。
「新しいお茶もお願いできるかしら」
やがて新しい紅茶が運ばれる。后妃は一口含み、ゆっくりと目を閉じた。
「……わたくしの可愛いセシル。もう少しよ」
慈愛に満ちた母の顔で、遠くを見つめていた。



