転生した悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!〜二つの王冠の子〜

「今日は本当にお疲れさま」
「……うん。二日連続とか、明日は爆睡する自信がある……」

自然と漏れた本音に、彼は柔らかく目を細めて微笑む。

「俺はね、例年よりもずっと楽しかったよ」

あっさりと告げられたその言葉が胸に沁み、思わず視線を落とす。
瞼がじんわり重くなっていくのを誤魔化そうと、慌てて首を振った。
けれど次の瞬間、肩口に温もりが触れた。

「……眠いなら、少し休め」
「でも……」
「大丈夫。公爵邸に着いたら起こす」

優しい声に抗えず、そっと身を委ねる。
硬いはずの馬車の座席なのに、彼の肩に寄りかかると羽毛のように心地よかった。

どれくらい目を閉じていただろう。
馬車が停まる気配に、はっと目を開けると、公爵邸の門が目の前に迫っていた。

「……リエル、起きられるかな」

耳元に囁く低い声とともに、髪を撫でる指先。
頬に広がる熱を誤魔化すように、慌てて体を起こした。

「リエル」

馬車を降りる間際、額にそっと落とされた口づけに心臓が跳ね上がる。
数秒見つめ合い、どちらからともなく瞳を閉じ、今度は唇を重ねた。

「リエル……そろそろ戻らないと、攫ってしまうよ」
「……うん……」

馬車から降り、屋敷に駆け込む私の背を、エドは窓越しに静かに見送っていた。