薄明の光がカーテンの隙間から差し込む。
「……リエル。おはよう」
「……は……ぁ!?なんで!!」
「元旦の祈りに遅れるわけにはいかないからね」
布団を跳ね飛ばして飛び起きると、ベッドの横に当たり前のように座っているエド。
え、なんで!?どうやって入ってきた!?
「鍵を預けてくれたのを覚えてないみたいだね」
思わずガウンをぎゅっと抱きしめる。
昨夜……そういえば眠気でうとうとしているときに、確かに渡した記憶があるような。
いや、夢だったんじゃ……?
でもエドの顔を見る限り、どうやら現実らしい。
「これ、よほど気に入ってくれてるみたいだね」
「ち、違っ……!これは、その……!」
握り締めるガウンの裾を持ち、低い声が追い打ちをかけてきて、心臓が大きく跳ねる。
支度を進めていた侍女が朝食の準備を整えてくれているのが視界に入り、言葉が喉で詰まった。
白いアイボリーのドレス。裾には金糸で繊細な詩集模様が施され、上品に輝いている。
しかも隣に立つエドのタキシードと完璧に色が揃っていて、思わず唇を尖らせた。
「さすがマダム・フルール。素晴らしい出来だ」
「……だから!私の知らないところで勝手に侍女と打ち合わせすんなよ!!」
ぷりぷり怒りながらも、鏡に映る自分を見れば、どう見ても似合っているのが悔しい。
エドだって、当然のように着こなしてしまっているし。
「……私が代わろう。下がっていいよ」
侍女が最後の裾を整えて一礼し、部屋を出て行く。
残されたのは私とエド、そして机の上に置かれた小箱。
「動かないで」
取り出されたのは、誕生日に贈られたサファイアのネックレス。
鎖が首元でカチリと留まった瞬間、冷たい感触が首筋を撫で、思わず身じろぐ。
「……やっぱり、これが一番似合う」
耳元に落ちてきた囁き声と同時に、うなじに小さな水音。
熱が一気に頬へと広がって、呼吸が乱れる。
続けざまにエドは跪き、そっと私の指先を取った。
冷たい金属が薬指をなぞり、婚約指輪がぴたりと収まる。
「……よし」
満足げに呟いたそのまま、指輪の上に唇を落とす。
『よし』じゃないってば……!
ただはめられだけじゃなく、その上にキスまで。
指輪に残る温度と唇の感触がじんじんと伝わってくる。
まるで自分が本当にお姫様になったかのようで、心臓が収まりそうにない。
顔を上げる勇気もなく、私はただ俯いたまま、乱れた呼吸を必死で整えようとした。
「……行こうか」
肩にそっと手が添えられる。
その温もりに支えられるようにして、深く息を吐いた。
侍女たちが静かに扉を開けると、冷たい冬の空気がすっと差し込んでくる。
外はまだ朝靄に包まれ、王宮の回廊には同じように拝礼へ向かう貴族たちが足早に歩いていた。
「……リエル。おはよう」
「……は……ぁ!?なんで!!」
「元旦の祈りに遅れるわけにはいかないからね」
布団を跳ね飛ばして飛び起きると、ベッドの横に当たり前のように座っているエド。
え、なんで!?どうやって入ってきた!?
「鍵を預けてくれたのを覚えてないみたいだね」
思わずガウンをぎゅっと抱きしめる。
昨夜……そういえば眠気でうとうとしているときに、確かに渡した記憶があるような。
いや、夢だったんじゃ……?
でもエドの顔を見る限り、どうやら現実らしい。
「これ、よほど気に入ってくれてるみたいだね」
「ち、違っ……!これは、その……!」
握り締めるガウンの裾を持ち、低い声が追い打ちをかけてきて、心臓が大きく跳ねる。
支度を進めていた侍女が朝食の準備を整えてくれているのが視界に入り、言葉が喉で詰まった。
白いアイボリーのドレス。裾には金糸で繊細な詩集模様が施され、上品に輝いている。
しかも隣に立つエドのタキシードと完璧に色が揃っていて、思わず唇を尖らせた。
「さすがマダム・フルール。素晴らしい出来だ」
「……だから!私の知らないところで勝手に侍女と打ち合わせすんなよ!!」
ぷりぷり怒りながらも、鏡に映る自分を見れば、どう見ても似合っているのが悔しい。
エドだって、当然のように着こなしてしまっているし。
「……私が代わろう。下がっていいよ」
侍女が最後の裾を整えて一礼し、部屋を出て行く。
残されたのは私とエド、そして机の上に置かれた小箱。
「動かないで」
取り出されたのは、誕生日に贈られたサファイアのネックレス。
鎖が首元でカチリと留まった瞬間、冷たい感触が首筋を撫で、思わず身じろぐ。
「……やっぱり、これが一番似合う」
耳元に落ちてきた囁き声と同時に、うなじに小さな水音。
熱が一気に頬へと広がって、呼吸が乱れる。
続けざまにエドは跪き、そっと私の指先を取った。
冷たい金属が薬指をなぞり、婚約指輪がぴたりと収まる。
「……よし」
満足げに呟いたそのまま、指輪の上に唇を落とす。
『よし』じゃないってば……!
ただはめられだけじゃなく、その上にキスまで。
指輪に残る温度と唇の感触がじんじんと伝わってくる。
まるで自分が本当にお姫様になったかのようで、心臓が収まりそうにない。
顔を上げる勇気もなく、私はただ俯いたまま、乱れた呼吸を必死で整えようとした。
「……行こうか」
肩にそっと手が添えられる。
その温もりに支えられるようにして、深く息を吐いた。
侍女たちが静かに扉を開けると、冷たい冬の空気がすっと差し込んでくる。
外はまだ朝靄に包まれ、王宮の回廊には同じように拝礼へ向かう貴族たちが足早に歩いていた。



