転生した悪役令嬢は、悠々快適溺愛ライフを満喫したい!〜二つの王冠の子〜

「コンラート、時間まで二人きりに」

短く告げると、侍女とコンラートは一礼して扉を閉めた。
暖炉の炎がパチパチと音を立てて揺れ、室内は柔らかな灯りに包まれている。

「……聖夜祭とか年越しの祈りとか、意外と貴族って真面目だなって思ってたけど……
こっからオールとか……やっぱり貴族パリピだわ……」

すっかり寝る準備を整え、ベッドに潜り込んだリエルは、毛布にくるまって小さな溜息をつく。

「鍵、渡すから……部屋を出るとき閉めてな。私はもう寝る……」

そう言った数分後には、もう可愛らしい寝息が規則正しく響いていた。

「……っすぅ……」

ベッドに腰かけ、そっと金色の髪へ唇を寄せる。
毛布の上には誕生日に贈ったガウンを羽織り、手元には紫のストールを握りしめたまま。
安心しきった寝顔は無防備で……その姿を見ているだけで胸の奥がじんわりと温かくなる。
けれど、同時にどうしようもない別の感情も沸き上がる。
困ったな、俺が何を考えているかなんて気にもせずに、あっさりと鍵まで預けてしまうなんて。

その柔らかな感触を離しがたくて、目を閉じる。

「殿下、お時間です」

扉越しの声に、思わず眉間に皺が寄る。
名残惜しく髪を撫でてから立ち上がり、寝息を立てるリエルの頬に指先でそっと触れる。
最後にもう一度、静かに毛布を掛け直した。

「……お前の時計を、いつか壊そうと思う」
「はいはい。では壊される前に退室を」
「本当に壊すからな」
「物騒なので、アリエル様にお伝えしますね」
「……」

ぐっすり眠ったままのリエルに低く呟く。

「リエル……おやすみ」

鍵を預かったまま扉を閉めると、重い扉越しに暖かな寝息がまだ届いてくる気がした。
名残惜しさを胸に押し込め、鍵を強く握りしめて会場へと戻っていった。