鬼狩りの番~置き去りにされた娘は、半人半鬼に血を捧げる~

半人半鬼(はんじんはんき)

まさか、眼前に佇むこの人が、そうなのだろうか。
人でありながら、人ならざる速さで鬼を斬る。
先ほどの一瞬は、まるで目にも留まらぬ刹那の早さだった。

「隊長!!お怪我はございませんか!!」
「……大事ない」
「あれ?そのお嬢さんは……?」
「知らん」
「知らんって、もう……。お嬢さん、お怪我はありませんか?」

降ってきた明るい声に、はっと我に返る。
あまりにも現実離れした出来事が、濁流のように押し寄せ、喉が強張って上手く声が出ない。
自分がまだ生きていることさえ、すぐには信じられなかった。

「え……あ、多分、どこも……大丈夫、です……」
「それはよかった。とりあえず、安全な場所までご案内しますので」

促されるまま、震える膝を叱咤してようやく立ち上がり、一歩を踏み出そうとした。