明けない夜も、君のそばにいる。

「……黒宮館が、焼け落ちた……?」
 俺、白神(しらかみ) 芹惺(せい)は、その報告に衝撃を受けていた。
 館の中からは、王族や有力な貴族、国王、そして……正妃である俺の姉上が遺体で見つかったそうだ。
「……義姉上……っ」
 汐桜(しお)皇后の娘である万穂(まほ)が泣き崩れている。
菜花(さな)お姉さまは、幸せだったのかな……」
 澪音(みと)がそう呟く。
「姉上が幸せなら、僕は何も言わないよ」
 ……そう言っておきながらも、本当は、辛い。
 僕にとって、たった一人の姉だった。
 苦楽を共にした、唯一無二の存在だった。
「そっか……。みんなが……」
 隣で静かに涙を流しているのは、僕の妃である、結明(ゆめ)
 結明(ゆめ)の兄である、黒宮王国の国王、遥流(はる)や、異母兄の海衣(かい)、従妹の埜瑛(のえ)らが死んだのだ。
 しかも、母である仁菜(にな)も、入院していた病院で亡くなった。
 もともと体が弱かったため、余命は半年ないだろう、と言われていたらしい。
「……姉上は、そちらで幸せですか?」
 僕の問いに答えてくれる人は、誰もいない。
 そんなこと、分かりきっていた。
 でも、それでも。
 『……幸せだよ』
 と、姉上が、そう答えてくれていると信じて……。