明けない夜も、君のそばにいる。

「白神の軍が、黒宮に攻めてきています!」
 海衣(かい)さんが大砲を撃ってから、どれくらい経ったのだろう。
 海衣(かい)さんは、王位を剥奪されて、海衣(かい)元王子になった。
 王位継承順位第一位は、埜瑛(のえ)王女になった。
「……どうすれば良い?黒宮の滅亡は目に見えている」
「とりあえず、国民を避難させましょう!この館にある金銀財宝も持たせて」
 その埜瑛(のえ)王女は、自身の屋敷である、多嘉(たか)屋敷から、黒宮館に来ていた。
「……そうだな。そうしよう」
 黒宮王国の最期が、近づいていた。
「……私、白神の兵士に捕まるなんて嫌です!……白神からの攻撃で死ぬのも……」
埜瑛(のえ)さん……」
「……じゃあ、館に火を放ちますか?」
「「え?」」
 ……それしかない。
 それしか、方法はなかった。
「……でも、それでは、黒宮の者に消されてしまうのでは?死にたくない者や、負けないと思っている者もいるし、白神からの攻撃だと思われるかもしれない。……黒宮の人間が、全員死なない限り、戦いは終わらないと思うが」
「いえ、大丈夫です、火は、消えません」
 私がつくりだす特別な火は、絶対に消えない。
 ……私が生み出した水を使わない限り。
「…………やるしかないわ。私は、死ぬなら、ここで、自分で決断して死にたいの」
埜瑛(のえ)……。……分かった。そうしよう」
 ここで、私も死ぬ。
 それが、この国のため……、この世界の為になるはず。
 『夫と一緒に死ぬなんて、それほど幸せなことはないのよ、菜花(さな)。私にはもう、叶わない夢だけど』
 いつの日か、母がそう言っていたことを思い出す。
 ……遥流(はる)さまと一緒に死ねるのは、幸せ……?
 まだ、よく分からない。
 生きてほしい、とも思ってしまうから。
 でも、もしかしたら……。