明けない夜も、君のそばにいる。

「か、海衣(かい)さんが、白神に……。大砲を……?」
 遥流(はる)さまと昼食をとっていたとき、突然、その知らせは入ってきた。
 遥流(はる)さまは、特に動揺する様子は見せず、静かにその報告を聞いていた。
 海衣(かい)さんが、白神帝国の領地に向かって、大砲を撃ったというのだ。
 しかも、そのせいで、白神の軍が動いている、とも……。
「……このままだと、また全面戦争に……?」
 怖い。
 どうしよう。
 先に攻撃をしたのは、黒宮側だ。
 落ち度は、こちらにある。
 ……きっと、この黒宮館も戦場になるだろう。
 私は、見捨てられるのだろうか。
「……海衣(かい)さんを……海衣(かい)を捕らえろ。王の命令だ。王子の称号も剝奪する」
 もう、あの頃の遥流(はる)さまとは違うんだ……。
 彼は、国王として即位してから、人が変わったようだった。
 ……権力を手に入れたからかな?
 それとも、嫌がらせから解放されたから?
 どちらにしろ、これが本当の遥流(はる)さまだったんだろうな。
「全面戦争に、なるかもしれないな……。その時は……、菜花(さな)は」
「私はっ、黒宮にいます!もう二度と、白神の地へは戻らないと決めてこちらへやって来たのです。……私は、黒宮で最期を迎えたいのです」
 白神に戻るなんて、嫌だ……。
 戻っても、どうせ「敵国の王の妃」という目で見られる。
 だったら、こっちで最期を迎えるほうがずっと良い。
 ……欲を言えば、もう一度芹惺(せい)に会いたかったけれど。