明けない夜も、君のそばにいる。

 遥流(はる)さまが国王になってから、海衣(かい)さんは、黒宮館から姿を消した。
 どうやら、波來田(なきた)の屋敷に身を寄せているらしい。
 遥流(はる)さまは、この国の民のことを考えた政治を行おうとした。
 ……でも、難しいみたいだ。
 国民からとる税を少なくすると、黒宮家の人間の負担が大きくなる。
 そうすれば、黒宮一族からの不満が爆発して、遥流(はる)さまは、館を追われてしまう。
 ……私も、白い目で見られる。
遥流(はる)さま。……お疲れですか?」
「……ああ。やることが多すぎる。……父上が、急に逝ってしまったからな……。何も聞けなくなってしまった」
 今までの王は、前の王、つまりは自分の父や祖父などから指南を仰いでいたらしい。
 でも、教えてくれる人は、もういない……。
「大変だけど……、あの頃に比べればマシだ。あの頃は、地獄だったから……」
 王太子時代のことだろう。
 今の王太子は、いない。
 王位継承順位第一位は、海衣(かい)さんだ。
 その次は、遥流(はる)さまや海衣(かい)さんの従妹にあたる、黒宮(くろみや) 埜瑛(のえ)さん。
「そうですか……。頑張ってください、お仕事」
「ああ」