明けない夜も、君のそばにいる。

「……海衣(かい)、さま?」
 翌日。
 私は、月璃(るり)さんにお屋敷の中を案内してもらっていた。
月璃(るり)……」
「そちらの方は……?」
「初めまして~。夏海(なつみ) 漣伊(れい)で~す」
 海衣(かい)さんの隣には、真っ赤なワンピースを着た女性が立っていた。
「そう、ですか……」
月璃(るり)。どうして遥流(はる)の妃と一緒にいるんだ?」
「どうして、って……。理由なんてないですよ。私はただ……」
「アイツの妃と仲良くするなんて許さない」
 海衣(かい)さんは、私に攻撃的な目を向けてくる。
「俺を"ただの王子"と呼んだヤツは許さない」
 あのこと、根に持ってたの……?
「……海衣(かい)さまは、私のことなんて、嫌いですか?」
 暗い表情のまま、月璃(るり)さんは言う。
「……俺は、お前を妃だと思ったことは一度もない」
「そうですか……。……私も、……海衣(かい)さまを、王子だと思ったことは一度もありません!」
 そう言うと、月璃(るり)さんは駆け出してしまった。
 もう、姿は見えない。
「なんだよアイツ」
「ねえ海衣(かい)くん。あっち行こうよー」
「ああ、そうだな」
 ……この人が、海衣(かい)さんの、「ずっと想っている人」?
 なんとなく、違う気がするけど……。
 考えても仕方ないか。
月璃(るり)さん、どこに行ったんだろう……」
 とりあえず、西館のほうへ行ってみる。
 見つかると良いんだけど……。