身を引いたのに、皇帝からの溺愛が止まりません ~秘された珠の還る場所~


 瑤華は湯気の向こうで並んで食事をする二人を見つめ、胸の奥がじんと熱くなるのを感じる。

 ――この子はこんなにも、父親に似ていたのね。

 食後に出された胡麻団子を、珠児は夢中で頬張って、口元を黒くしている。

「ほら……」

 玄耀は懐から布を取り出し、自然な仕草で珠児の口を拭う。
 その光景に、瑤華は一瞬、目を伏せた。

「また、来たいね」

 ぽつりと珠児が言う。

「……ああ」

 玄耀は間を置いてから、低く答えた。

「三人で、だ」

 その言葉が、瑤華の胸に静かに落ちていく。
 温かな茉莉花茶を口に含みながら、彼女は思った。

 ――こんな日常を、知ってしまったら。

 どうしよう。もう、戻れない。