旧大陸有舞州の東方に位置する景朝国は五年ほど前まで内乱のなかにあった。後継者を決める殺し合いからはじまったそれは候補であったふたりの兄皇子が共倒れした結果、玄耀のもとへ転がり込んできた。それこそ珠児の手鞠のように。
もともと皇帝になるつもりもなかった玄耀だったが、彼の聡明さに臣下たちはひれ伏し、皇城は瞬く間に安定を取り戻した。死んだ兄たちによって迎え入れられていた後宮の妃たちの命運は玄耀が握っている。だが、彼は当時からたったひとりの女性のもとにしか通わず、ほかの女性には見向きもしないままだった。それが白家の一人娘、瑤華である。
そのことを危惧した彼女はほかの妃たちのもとへも通うよう彼に訴えたが、彼の寵愛は瑤華にしか向かわない。兄皇子を支援していた白家の父はすでに殺され、ひとりぼっちの瑤華は彼に飼われている存在として後宮内の女たちから嫉妬だけでなく憐れみを受けていた。



