白瑤華、という名前に反応したのは玄耀だけではない。幼い頃から彼を支えていた臣下、沈泰正もまた、皇帝としての地位を確立させる以前から彼が寵を賜っていた女性の名前であることに気づいていた。
皇城から離れた北方の地で、戸部主事として官庁で働いている女性官吏の存在は正直目立たない。玄耀が彼女の名を記した書類を見て、彼もまたようやく白瑤華の存在を思い出したからだ。
彼がふたたび彼女を正式に後宮へ呼び戻したいというのなら、それを助けるのが泰正の役目でもある。ましてや愛らしい子どもがそこにいるのなら。
「陛下」
「わかっておる……白官吏を、ここへ」
泰正の声がけに、玄耀はうむと頷き、彼女を呼んだ。



