身を引いたのに、皇帝からの溺愛が止まりません ~秘された珠の還る場所~

「……珠児」

 首を傾げながら鞠を受け取った珠児は名前を問われてぽつりと応える。そこに皇帝がいることが信じられないとどこかぽかんとした表情を浮かべているのが、玄耀にとって印象的だった。

「この官舎で暮らしているのか?」
「うん。珠児、かあさまと暮らしているの」
「かあさまの名は?」
「白瑤華」

 がつん、とあたまを殴られたような衝撃を受け、玄耀は言葉を噤む。
 いっぽう、玄耀に従う周囲の人間は珠児の面影が皇帝の幼き頃にそっくりであることに気づき、ざわついていた。

 ――あの女児、陛下の幼き頃によく似た容貌(かんばせ)をしておる。何者であろう。
 ――陛下が無理をしてでも逢いたいと北方へ出向いた理由とは、これなのでしょうか。