空色の小鳥は、恋をしていた。

 ゴールデンウィークが始まって、三日が経過した。
 休み前日に名前で呼び合おうと話して以来、優希とは変わらない関係が続いている。

(変わらないというか、前より距離が遠いような気がする)

 休みでも優希は、午前も午後も、サッカー部の練習に行く。
 夜も何となくすれ違っている。休みに入る前より一緒にいられる時間は少ないかもしれない。

(僕が期待しすぎたのかな)

 休みは授業もないし、寮も人が減って静かだ。
 その分、一緒にいられる時間は長いと思っていた。

(まだ、宿題の教え合いもできてない)

 優希から提案してくれた約束なのに。
 淋しい気持ちになりながら、奏楽は部屋で一人の時間を過ごしていた。

 手芸部の部活は午前中に数時間だ。
 九時くらいから集まって、短いと一時間程度、長ければ昼まで。
 その日の盛り上がり次第といった具合だ。
 佳奈と詩織は午後から、七不思議探索に出掛けている。
 だから自然と、奏楽は午後が暇になる。

(優希、まだ練習してるかな。顔を見たい。話がしたい)

 カタカタと、家具が揺れる音がした。

「何……地震?」

 寝転がっていたベッドから起き上がる。
 本棚の本屋やゴミ箱が揺れている。

「もしかして、またポルターガイスト?」

 奏楽は慌てて起き上がると、本棚に抱き付いた。

「ダメ! 浮いちゃダメ! 優希がいつ帰ってくるか、わからないのに!」

 腕で本棚を押さえ、足でゴミ箱を踏みつける。
 机の上で、スマホが揺れていた。

「スマホまで浮き上がっちゃう……あれ……バイブ? メッセ?」

 奏楽はスマホを手に取った。
 颯真からのメッセだ。

『三人でトランプするから、俺の部屋集合!』

 メッセと共に、写真が添付してあった。
 颯真が優希の肩に腕を回して自撮りしている。

「写真の優希も格好良い」

 そう思って気が付いた。

(優希の写真、持ってなかった。初めての優希の写真だ)

 ジワリと、嬉しさが湧き上がる。

「ちょっと不機嫌そうに見えるけど、でも……嬉しい」

 嬉しくて、笑みが込み上げる。
 奏楽はスマホを抱きしめた。

 いつの間にか、本や家具の揺れが収まっていた。