無能令嬢と祓い屋当主の契約結婚~契約で結ばれたわたしたちが、本当の夫婦になるまで~

 

「ちょっと! 離しなさい! 離しなさいってば! ……ごほっごほっ、なんですの、この煙は……?」

 縄を引かれながらクイナが地上に出ると、辺りは炎に包まれていた。クイナたちのいた地下室は、鏡月院家の敷地内にあるお堂の地下で、そのお堂ごとゴウゴウと燃えていた。

「な、なによこれ! ここは鏡月院家の家宝がっ、鎮妖大祓で使う鏡がありますのよっ!?」
「クイナ……」
「お父さま!」

父の声に振り向いたクイナは、父も縄で縛られているのを見て、目を見開いた。

「どうしてお父さまが……! あなたたち、なにを考えておりますの!?」
「事情聴取です。聞けば、鏡月院の当主さまも、斎さまに何度も第二夫人の件で連絡していたとか」

 警務課の青年が答えた。

「正当な権利ですわ! わたくしたちは、鏡月院! 鳳凰寺と婚約するのは当たり前で――」
「はい、続きは牢で聞きますから」
「だから、牢なんて――……!」

 暴れるクイナとその父は、まとめて車に乗せられた。
 怒れる鳳凰寺の炎は、お堂と庭の一部を焼いて、やがて自然に鎮火した。


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