学校イチのイケメンに心理テストしたら好きな人が俺だった



端の影の薄い場所に2人で並んで座った。
ノートを広げて、シャーペンを握る。顔をあげて映像の方を見るが人の頭や、カーテンが邪魔をして見づらく、身を少し才野くんの方に寄せざるを得ない。
しばらくして、才野くんのシャーペンが俺のノートを控えめにノックする。

顔を横に向ければ存外近い距離に才野くんがいて、思わず身を離した。
才野くんは慌てた様子もなく、俺に差し出したそれ。

「影井」

「なに」

怒られないようにお互いが静かな声で言葉を放つ。
何か授業のことだろうか、「見えにくいからやっぱり移動する」とかなんとか。しかし差し出されているものは、さっき俺があげた絆創膏だった。

わけがわからず、絆創膏と才野くんを交互に見つめる。

「…貼って、これ」

「はい?」

「自分じゃ貼りにくいから、しかもここ薄暗いし」

「今じゃなくてもいいでしょ、あとで宮瀬くんか小野寺くんにやってもらったら」

「指が無くなるんじゃないかってくらい痛い、影井のせいで」

真顔で嘘言ってる。俺のせいなのはそうなんだけど。

「分かった…」

シャーペンをノートの上に転がし置いて、才野くんの手から絆創膏を受け取る。
あまり音を立てないように外を覆う白い紙を破いた。
了承はしたものの、自分があまり器用な方ではないことに気づいて身を才野くんの方に向き直る。

「そんなにちゃんとしなくてもいいけど」

「指が無くなるかもってくらい痛いんだろう、しっかり傷を覆わないとバイ菌が入る」

「バイ菌って」

笑い堪えるような声が聞こえて傷と睨めっこをしていた顔をあげる。才野くんの顔が至近距離にあった。
才野くんの瞳が揺れる。
そして揺らいだ瞳がそのまま気まずそうに俺から外れた。聞こえるか聞こえないかほどの独り言のような声を才野くんは放った。

「…子ども扱いすんなよ」

「じゃあ自分で貼ってくれよ」

「やだ」

なんだか、意外だ。才野くんってこういうやつだったんだ。教室の中でみる才野くんという人間は、俺からみればあまり感情が分からなくて、ミステリアスで、大人な雰囲気。絆創膏一枚貼る貼らないで「やだ」という言葉をきくことになるなんて。
悪い意味ではない、むしろ

「面白いね、才野くんって」

「は?なに、急」

「はい、貼れた」

文句を遮るようにぺしっと軽く才野くんの指先を叩けば、少し不服そうに手を引っ込めていく才野くん。
今後、俺が才野くんの隣にこうやって座ることもないのだろう。
もしかしたら関わることもないのかもしれない。
だって、自分は所詮は気まぐれで話しかけられた程度の人間だからだ。
ちらりと隣をみれば、才野くんが持っているシャーペンが視界に入る。

「…あ」

「なに」

小さく声を出せば才野くんがこっちを向いた。「いや、なんでも」と誤魔化すように笑ってまた前を向く。

シャーペンに印字されている小さなイラストが、バスケットボールだった。
ただ、それだけ。