第95話 シーツから始まる相談
(蠍座君♂x水瓶座ちゃん♀)
日曜の買い物の帰り、放課後の空き教室で、空気が少しひんやりしていた。窓の外が早く暗くなり、部屋の中だけがやけに明るく見えた。
告白の答えを伝えた翌週、紗綺は足をすり合わせて寒さを追い払う。隆之介は無言でシーツを持ってきた。
ただの道具のはずなのに、触れた瞬間、心までほぐれていく気がした。
寒さをしのぐを始める前に、紗綺が立ち止まった。「ねえ、約束して」。隆之介が見返すと、紗綺はシーツを両手で持ち、落とさないように胸の前に抱えていた。
「忙しくても、返事はしてほしい」。言い終えると、紗綺は目をそらす。隆之介は一度だけ深くうなずき、「秘密、守る」と言ってシーツを受け取った。
そして作業の手を止めずに「遅れたら、ここで謝る」と続ける。紗綺は目を細め、「これ、アプリでできる」と笑った。道具の受け渡しが、二人だけのサインになった。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。紗綺が「今日は助かった」と言うと、隆之介は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
片づけの最中、シーツが机から転がりそうになり、隆之介が反射で押さえた。その手の速さに紗綺が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。隆之介は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
帰り道、隆之介は「次は紗綺のやりたいことを先に聞く」と言った。紗綺は少し考えてから、シーツを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の視線が合うたび、心が落ち着いた。 紗綺は笑ってうなずき、隆之介の袖を軽く引いた。
【終】
(蠍座君♂x水瓶座ちゃん♀)
日曜の買い物の帰り、放課後の空き教室で、空気が少しひんやりしていた。窓の外が早く暗くなり、部屋の中だけがやけに明るく見えた。
告白の答えを伝えた翌週、紗綺は足をすり合わせて寒さを追い払う。隆之介は無言でシーツを持ってきた。
ただの道具のはずなのに、触れた瞬間、心までほぐれていく気がした。
寒さをしのぐを始める前に、紗綺が立ち止まった。「ねえ、約束して」。隆之介が見返すと、紗綺はシーツを両手で持ち、落とさないように胸の前に抱えていた。
「忙しくても、返事はしてほしい」。言い終えると、紗綺は目をそらす。隆之介は一度だけ深くうなずき、「秘密、守る」と言ってシーツを受け取った。
そして作業の手を止めずに「遅れたら、ここで謝る」と続ける。紗綺は目を細め、「これ、アプリでできる」と笑った。道具の受け渡しが、二人だけのサインになった。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。紗綺が「今日は助かった」と言うと、隆之介は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
片づけの最中、シーツが机から転がりそうになり、隆之介が反射で押さえた。その手の速さに紗綺が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。隆之介は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
帰り道、隆之介は「次は紗綺のやりたいことを先に聞く」と言った。紗綺は少し考えてから、シーツを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の視線が合うたび、心が落ち着いた。 紗綺は笑ってうなずき、隆之介の袖を軽く引いた。
【終】


