第89話 カーテンが転がした笑い
(蠍座君♂x獅子座ちゃん♀)
日曜の買い物の帰り、瑠花の部屋で、校庭に風が走っていた。窓の外が早く暗くなり、部屋の中だけがやけに明るく見えた。
一緒に帰る日が増えた頃、瑠花は足をすり合わせて寒さを追い払う。真紘は無言でカーテンを持ってきた。
ただの道具のはずなのに、触れた瞬間、心までほぐれていく気がした。
途中で瑠花が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、真紘は立ち止まる。
実は真紘は昨日、同じカーテンをもう一つ用意していた。理由は、瑠花が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。真紘は「秘密、守る」と言いながら、そっと手渡した。
瑠花は受け取り、しばらく黙ったあと、「うまくいくに決まってる」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。真紘は「じゃ、今使おう」と前を向き、瑠花はその背中に小さく「うん」と重ねた。
瑠花は歩きながら、ふとカーテンを見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。真紘が「うん」と待つと、瑠花は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。瑠花が「今日は助かった」と言うと、真紘は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
帰り道、真紘は「次は瑠花のやりたいことを先に聞く」と言った。瑠花は少し考えてから、カーテンを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の同じ方向へ進む気持ちが、静かに重なった。 瑠花は笑ってうなずき、真紘の袖を軽く引いた。
【終】
(蠍座君♂x獅子座ちゃん♀)
日曜の買い物の帰り、瑠花の部屋で、校庭に風が走っていた。窓の外が早く暗くなり、部屋の中だけがやけに明るく見えた。
一緒に帰る日が増えた頃、瑠花は足をすり合わせて寒さを追い払う。真紘は無言でカーテンを持ってきた。
ただの道具のはずなのに、触れた瞬間、心までほぐれていく気がした。
途中で瑠花が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、真紘は立ち止まる。
実は真紘は昨日、同じカーテンをもう一つ用意していた。理由は、瑠花が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。真紘は「秘密、守る」と言いながら、そっと手渡した。
瑠花は受け取り、しばらく黙ったあと、「うまくいくに決まってる」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。真紘は「じゃ、今使おう」と前を向き、瑠花はその背中に小さく「うん」と重ねた。
瑠花は歩きながら、ふとカーテンを見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。真紘が「うん」と待つと、瑠花は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。瑠花が「今日は助かった」と言うと、真紘は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
帰り道、真紘は「次は瑠花のやりたいことを先に聞く」と言った。瑠花は少し考えてから、カーテンを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の同じ方向へ進む気持ちが、静かに重なった。 瑠花は笑ってうなずき、真紘の袖を軽く引いた。
【終】


