星座が示す、144通りの恋

第88話 延長コードが見ていた
(蠍座君♂x蟹座ちゃん♀)

 期末テストの前日、駅の改札横で、夕方の匂いがしていた。ポケットの中で小さな振動が続き、二人の会話が途切れた。
 二人だけの合図ができたばかりの頃、結菜乃は画面を見て「ごめん、ここで止まりそう」と困り顔。透真は立ち止まり、鞄の中を探る。
 助けになるのが延長コード。機械のことが苦手でも、二人なら何とかなる気がした。
 途中で結菜乃が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、透真は立ち止まる。
 実は透真は昨日、同じ延長コードをもう一つ用意していた。理由は、結菜乃が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。透真は「秘密、守る」と言いながら、そっと手渡した。
 結菜乃は受け取り、しばらく黙ったあと、「無理してない?」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。透真は「じゃ、今使おう」と前を向き、結菜乃はその背中に小さく「うん」と重ねた。
 結菜乃は歩きながら、ふと延長コードを見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。透真が「うん」と待つと、結菜乃は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
 結菜乃は歩きながら、ふと延長コードを見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。透真が「うん」と待つと、結菜乃は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
 帰り道、透真は「次は結菜乃のやりたいことを先に聞く」と言った。結菜乃は少し考えてから、延長コードを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の帰り道が、いつもより明るく見えた。
【終】