第76話 バスタオルとふたりの手
(天秤座君♂x蟹座ちゃん♀)
期末テストの前日、美琴の部屋で、日差しがまぶしかった。窓の外が早く暗くなり、部屋の中だけがやけに明るく見えた。
二人だけの合図ができたばかりの頃、美琴は足をすり合わせて寒さを追い払う。叶翔は無言でバスタオルを持ってきた。
ただの道具のはずなのに、触れた瞬間、心までほぐれていく気がした。
二人が動き出すと、近くの友だちが「手伝う?」と声をかけてきた。叶翔は「それなら両方できる」と返し、役割をぱっと分ける。
美琴は背中を軽くなでる、苦手そうな子の隣へ回って、やり方を静かに見せた。中心にあるバスタオルは順番を守らないと失敗する。焦った誰かが先に触れてしまい、少しだけやり直しになりかけた。
そのとき叶翔が「一回止めよう」と手を上げ、美琴が「ここから」と指で道を作った。二人の声は違うのに、向いている先が同じだった。終わったあと、友だちは「息ぴったりだね」と笑い、二人は同時に顔を赤くした。
美琴は歩きながら、ふとバスタオルを見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。叶翔が「うん」と待つと、美琴は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
片づけの最中、バスタオルが机から転がりそうになり、叶翔が反射で押さえた。その手の速さに美琴が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。叶翔は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
帰り道、叶翔は「次は美琴のやりたいことを先に聞く」と言った。美琴は少し考えてから、バスタオルを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の帰り道が、いつもより明るく見えた。
【終】
(天秤座君♂x蟹座ちゃん♀)
期末テストの前日、美琴の部屋で、日差しがまぶしかった。窓の外が早く暗くなり、部屋の中だけがやけに明るく見えた。
二人だけの合図ができたばかりの頃、美琴は足をすり合わせて寒さを追い払う。叶翔は無言でバスタオルを持ってきた。
ただの道具のはずなのに、触れた瞬間、心までほぐれていく気がした。
二人が動き出すと、近くの友だちが「手伝う?」と声をかけてきた。叶翔は「それなら両方できる」と返し、役割をぱっと分ける。
美琴は背中を軽くなでる、苦手そうな子の隣へ回って、やり方を静かに見せた。中心にあるバスタオルは順番を守らないと失敗する。焦った誰かが先に触れてしまい、少しだけやり直しになりかけた。
そのとき叶翔が「一回止めよう」と手を上げ、美琴が「ここから」と指で道を作った。二人の声は違うのに、向いている先が同じだった。終わったあと、友だちは「息ぴったりだね」と笑い、二人は同時に顔を赤くした。
美琴は歩きながら、ふとバスタオルを見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。叶翔が「うん」と待つと、美琴は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
片づけの最中、バスタオルが机から転がりそうになり、叶翔が反射で押さえた。その手の速さに美琴が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。叶翔は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
帰り道、叶翔は「次は美琴のやりたいことを先に聞く」と言った。美琴は少し考えてから、バスタオルを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の帰り道が、いつもより明るく見えた。
【終】


