第73話 スマホスタンドと帰り道
(天秤座君♂x牡羊座ちゃん♀)
帰り道の夕焼け、図書室で、校庭に風が走っていた。机の上にはプリントが積まれ、チャイムの余韻だけが残っていた。
二人だけの合図ができたばかりの頃、二人はまだ人前で手をつなぐのが得意じゃない。けれど隣に座る距離だけは、自然に近い。
今日はプリントを整える。そこにスマホスタンドが出てくる。小さいのに、あるとないとで安心感が違う。
プリントを整えるを始める前に、陽菜が立ち止まった。「ねえ、約束して」。雅臣が見返すと、陽菜はスマホスタンドを両手で持ち、落とさないように胸の前に抱えていた。
「忙しくても、返事はしてほしい」。言い終えると、陽菜は目をそらす。雅臣は一度だけ深くうなずき、「半分こしよう」と言ってスマホスタンドを受け取った。
そして作業の手を止めずに「遅れたら、ここで謝る」と続ける。陽菜は目を細め、「迷うより一歩だ」と笑った。道具の受け渡しが、二人だけのサインになった。
陽菜が靴ひもを結び直している間、雅臣は周りを見回し、来週の予定を指で数えた。「会える日は少ないけど、短くてもいい」と言うと、陽菜は「短いほど大事にする」と返して、目を合わせた。
陽菜は歩きながら、ふとスマホスタンドを見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。雅臣が「うん」と待つと、陽菜は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
帰り道、雅臣は「次は陽菜のやりたいことを先に聞く」と言った。陽菜は少し考えてから、スマホスタンドを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の距離は、前よりも少しだけ縮まった。 陽菜は笑ってうなずき、雅臣の袖を軽く引いた。
【終】
(天秤座君♂x牡羊座ちゃん♀)
帰り道の夕焼け、図書室で、校庭に風が走っていた。机の上にはプリントが積まれ、チャイムの余韻だけが残っていた。
二人だけの合図ができたばかりの頃、二人はまだ人前で手をつなぐのが得意じゃない。けれど隣に座る距離だけは、自然に近い。
今日はプリントを整える。そこにスマホスタンドが出てくる。小さいのに、あるとないとで安心感が違う。
プリントを整えるを始める前に、陽菜が立ち止まった。「ねえ、約束して」。雅臣が見返すと、陽菜はスマホスタンドを両手で持ち、落とさないように胸の前に抱えていた。
「忙しくても、返事はしてほしい」。言い終えると、陽菜は目をそらす。雅臣は一度だけ深くうなずき、「半分こしよう」と言ってスマホスタンドを受け取った。
そして作業の手を止めずに「遅れたら、ここで謝る」と続ける。陽菜は目を細め、「迷うより一歩だ」と笑った。道具の受け渡しが、二人だけのサインになった。
陽菜が靴ひもを結び直している間、雅臣は周りを見回し、来週の予定を指で数えた。「会える日は少ないけど、短くてもいい」と言うと、陽菜は「短いほど大事にする」と返して、目を合わせた。
陽菜は歩きながら、ふとスマホスタンドを見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。雅臣が「うん」と待つと、陽菜は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
帰り道、雅臣は「次は陽菜のやりたいことを先に聞く」と言った。陽菜は少し考えてから、スマホスタンドを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の距離は、前よりも少しだけ縮まった。 陽菜は笑ってうなずき、雅臣の袖を軽く引いた。
【終】


