星座が示す、144通りの恋

第70話 収納ボックスから始まる相談
(乙女座君♂x山羊座ちゃん♀)

 四月の放課後、通学路で、日差しがまぶしかった。二人で歩くと、風の匂いまで違って感じた。
 告白の答えを伝えた翌週、遼は「ここ、順番が大事」と笑い、志保は「うん」と小さく返す。
 今日は買い物を手伝う。机の上の収納ボックスが、二人だけの合図になっていた。
 二人が動き出すと、近くの友だちが「手伝う?」と声をかけてきた。遼は「道具はそろってる?」と返し、役割をぱっと分ける。
 志保は相手の不安を言葉で整える、苦手そうな子の隣へ回って、やり方を静かに見せた。中心にある収納ボックスは順番を守らないと失敗する。焦った誰かが先に触れてしまい、少しだけやり直しになりかけた。
 そのとき遼が「一回止めよう」と手を上げ、志保が「ここから」と指で道を作った。二人の声は違うのに、向いている先が同じだった。終わったあと、友だちは「息ぴったりだね」と笑い、二人は同時に顔を赤くした。
 最後の確認をしていると、志保が「ありがとう」とはっきり言った。遼は返事の代わりにうなずき、少しだけ指先で志保の袖をつまむ。誰にも見えない小さな合図が、二人には十分だった。
 志保が靴ひもを結び直している間、遼は周りを見回し、来週の予定を指で数えた。「会える日は少ないけど、短くてもいい」と言うと、志保は「短いほど大事にする」と返して、目を合わせた。
 帰り道、遼は「次は志保のやりたいことを先に聞く」と言った。志保は少し考えてから、収納ボックスを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の時間が、少しだけ増えた。 志保は笑ってうなずき、遼の袖を軽く引いた。
【終】