第66話 マウスウォッシュで丸くなる角
(乙女座君♂x乙女座ちゃん♀)
夏休みの初日、家の洗面所は静かで、薄い雲が流れていた。花音は指先をそっと押さえ、息を短く吐いた。
圭佑は椅子を引いて隣に座り、「道具はそろってる?」と言いかけて、声の大きさを半分にする。
机の上にはマウスウォッシュ。先生の説明より先に、圭佑は花音の表情を見て、無理をさせたくないと思った。
身だしなみを整えるを始める前に、花音が立ち止まった。「ねえ、約束して」。圭佑が見返すと、花音はマウスウォッシュを両手で持ち、落とさないように胸の前に抱えていた。
「忙しくても、返事はしてほしい」。言い終えると、花音は目をそらす。圭佑は一度だけ深くうなずき、「チェックしていい?」と言ってマウスウォッシュを受け取った。
そして作業の手を止めずに「遅れたら、ここで謝る」と続ける。花音は目を細め、「道具はそろってる?」と笑った。道具の受け渡しが、二人だけのサインになった。
片づけの最中、マウスウォッシュが机から転がりそうになり、圭佑が反射で押さえた。その手の速さに花音が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。圭佑は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
最後の確認をしていると、花音が「ありがとう」とはっきり言った。圭佑は返事の代わりにうなずき、少しだけ指先で花音の袖をつまむ。誰にも見えない小さな合図が、二人には十分だった。
帰り道、圭佑は「次は花音のやりたいことを先に聞く」と言った。花音は少し考えてから、マウスウォッシュを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の笑い声が、しばらく耳に残った。 花音は笑ってうなずき、圭佑の袖を軽く引いた。
【終】
(乙女座君♂x乙女座ちゃん♀)
夏休みの初日、家の洗面所は静かで、薄い雲が流れていた。花音は指先をそっと押さえ、息を短く吐いた。
圭佑は椅子を引いて隣に座り、「道具はそろってる?」と言いかけて、声の大きさを半分にする。
机の上にはマウスウォッシュ。先生の説明より先に、圭佑は花音の表情を見て、無理をさせたくないと思った。
身だしなみを整えるを始める前に、花音が立ち止まった。「ねえ、約束して」。圭佑が見返すと、花音はマウスウォッシュを両手で持ち、落とさないように胸の前に抱えていた。
「忙しくても、返事はしてほしい」。言い終えると、花音は目をそらす。圭佑は一度だけ深くうなずき、「チェックしていい?」と言ってマウスウォッシュを受け取った。
そして作業の手を止めずに「遅れたら、ここで謝る」と続ける。花音は目を細め、「道具はそろってる?」と笑った。道具の受け渡しが、二人だけのサインになった。
片づけの最中、マウスウォッシュが机から転がりそうになり、圭佑が反射で押さえた。その手の速さに花音が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。圭佑は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
最後の確認をしていると、花音が「ありがとう」とはっきり言った。圭佑は返事の代わりにうなずき、少しだけ指先で花音の袖をつまむ。誰にも見えない小さな合図が、二人には十分だった。
帰り道、圭佑は「次は花音のやりたいことを先に聞く」と言った。花音は少し考えてから、マウスウォッシュを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の笑い声が、しばらく耳に残った。 花音は笑ってうなずき、圭佑の袖を軽く引いた。
【終】


