第61話 突っ張り棒のせいにして
(乙女座君♂x牡羊座ちゃん♀)
四月の放課後、公園のベンチで、夕方の匂いがしていた。肩が触れそうな距離で歩くと、見慣れた道が新しく見えた。
告白の答えを伝えた翌週、理久は「ここ、順番が大事」と笑い、凛花は「うん」と小さく返す。
今日は探しものを見つける。突っ張り棒が、二人の真ん中で目印みたいに置かれていた。
手を動かした途端、小さな困りごとが見つかった。凛花が「ここ、引っかかる」と指さす。理久は返事の代わりにうなずき、突っ張り棒を手に取った。
理久は細かいところを見つけて直す。力の入れ方を見せてから、凛花の手の上に自分の手をそっと重ね、「このくらい」と角度を示す。凛花は真剣な目で真似をした。
うまくいった瞬間、凛花の口から「よし、今やろう」がこぼれた。理久は「でしょ」と笑い、でも目線は外して照れを隠す。二人の間に残ったのは、道具の音と、少し早い鼓動だった。
凛花が靴ひもを結び直している間、理久は周りを見回し、来週の予定を指で数えた。「会える日は少ないけど、短くてもいい」と言うと、凛花は「短いほど大事にする」と返して、目を合わせた。
最後の確認をしていると、凛花が「ありがとう」とはっきり言った。理久は返事の代わりにうなずき、少しだけ指先で凛花の袖をつまむ。誰にも見えない小さな合図が、二人には十分だった。
帰り道、理久は「次は凛花のやりたいことを先に聞く」と言った。凛花は少し考えてから、突っ張り棒を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の距離は、前よりも少しだけ縮まった。 凛花は笑ってうなずき、理久の袖を軽く引いた。
【終】
(乙女座君♂x牡羊座ちゃん♀)
四月の放課後、公園のベンチで、夕方の匂いがしていた。肩が触れそうな距離で歩くと、見慣れた道が新しく見えた。
告白の答えを伝えた翌週、理久は「ここ、順番が大事」と笑い、凛花は「うん」と小さく返す。
今日は探しものを見つける。突っ張り棒が、二人の真ん中で目印みたいに置かれていた。
手を動かした途端、小さな困りごとが見つかった。凛花が「ここ、引っかかる」と指さす。理久は返事の代わりにうなずき、突っ張り棒を手に取った。
理久は細かいところを見つけて直す。力の入れ方を見せてから、凛花の手の上に自分の手をそっと重ね、「このくらい」と角度を示す。凛花は真剣な目で真似をした。
うまくいった瞬間、凛花の口から「よし、今やろう」がこぼれた。理久は「でしょ」と笑い、でも目線は外して照れを隠す。二人の間に残ったのは、道具の音と、少し早い鼓動だった。
凛花が靴ひもを結び直している間、理久は周りを見回し、来週の予定を指で数えた。「会える日は少ないけど、短くてもいい」と言うと、凛花は「短いほど大事にする」と返して、目を合わせた。
最後の確認をしていると、凛花が「ありがとう」とはっきり言った。理久は返事の代わりにうなずき、少しだけ指先で凛花の袖をつまむ。誰にも見えない小さな合図が、二人には十分だった。
帰り道、理久は「次は凛花のやりたいことを先に聞く」と言った。凛花は少し考えてから、突っ張り棒を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の距離は、前よりも少しだけ縮まった。 凛花は笑ってうなずき、理久の袖を軽く引いた。
【終】


