第57話 冷蔵庫が転がした笑い
(獅子座君♂x射手座ちゃん♀)
五月の雨上がりの朝、里奈の家の台所で、空気が少しひんやりしていた。里奈はエプロンのひもを結び直し、耀は袖をまくった。
一緒に帰る日が増えた頃、二人は「まずは一回、成功させよう」と小さく笑い合う。今日やるのは夕飯の手伝いをする。
鍵になるのが冷蔵庫で、手順がずれると味も形も崩れる。里奈は「できるかな」と首をかしげた。
初めてみると、思ったより早くつまずきが見えた。里奈が「ここ、引っかかる」と指さす。耀は返事の代わりにうなずき、冷蔵庫を手に取った。
耀は堂々と宣言して動く。力の入れ方を見せてから、里奈の手の上に自分の手をそっと重ね、「このくらい」と角度を示す。里奈は軽い足取りで目的地を決める、真剣な目で真似をした。
うまくいった瞬間、里奈の口から「行ってみよう!」がこぼれた。耀は「でしょ」と笑い、でも目線は外して照れを隠す。二人の間に残ったのは、道具の音と、少し早い鼓動だった。
片づけの最中、冷蔵庫が机から転がりそうになり、耀が反射で押さえた。その手の速さに里奈が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。耀は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
里奈は歩きながら、ふと冷蔵庫を見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。耀が「うん」と待つと、里奈は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
帰り道、耀は「次は里奈のやりたいことを先に聞く」と言った。里奈は少し考えてから、冷蔵庫を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の小さな合図が、ちゃんと届いた。 里奈は笑ってうなずき、耀の袖を軽く引いた。
【終】
(獅子座君♂x射手座ちゃん♀)
五月の雨上がりの朝、里奈の家の台所で、空気が少しひんやりしていた。里奈はエプロンのひもを結び直し、耀は袖をまくった。
一緒に帰る日が増えた頃、二人は「まずは一回、成功させよう」と小さく笑い合う。今日やるのは夕飯の手伝いをする。
鍵になるのが冷蔵庫で、手順がずれると味も形も崩れる。里奈は「できるかな」と首をかしげた。
初めてみると、思ったより早くつまずきが見えた。里奈が「ここ、引っかかる」と指さす。耀は返事の代わりにうなずき、冷蔵庫を手に取った。
耀は堂々と宣言して動く。力の入れ方を見せてから、里奈の手の上に自分の手をそっと重ね、「このくらい」と角度を示す。里奈は軽い足取りで目的地を決める、真剣な目で真似をした。
うまくいった瞬間、里奈の口から「行ってみよう!」がこぼれた。耀は「でしょ」と笑い、でも目線は外して照れを隠す。二人の間に残ったのは、道具の音と、少し早い鼓動だった。
片づけの最中、冷蔵庫が机から転がりそうになり、耀が反射で押さえた。その手の速さに里奈が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。耀は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
里奈は歩きながら、ふと冷蔵庫を見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。耀が「うん」と待つと、里奈は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
帰り道、耀は「次は里奈のやりたいことを先に聞く」と言った。里奈は少し考えてから、冷蔵庫を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の小さな合図が、ちゃんと届いた。 里奈は笑ってうなずき、耀の袖を軽く引いた。
【終】


