星座が示す、144通りの恋

第54話 メガネ拭きが転がした笑い
(獅子座君♂x乙女座ちゃん♀)

 夏休みの初日、商店街で、雨粒の名残がアスファルトに光っていた。並んだ足音があるだけで、道が短く感じた。
 一緒に帰る日が増えた頃、凱斗は「任せて」と笑い、小春は「うん」と小さく返す。
 今日は買い物を手伝う。机の上にメガネ拭きが置かれていた。今日はそれが鍵になる。
 途中で小春が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、凱斗は立ち止まる。
 実は凱斗は昨日、同じメガネ拭きをもう一つ用意していた。理由は、小春が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。凱斗は「うまくいくに決まってる」と言いながら、そっと手渡した。
 小春は受け取り、しばらく黙ったあと、「チェックしていい?」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。凱斗は「じゃ、今使おう」と前を向き、小春はその背中に小さく「うん」と重ねた。
 小春が靴ひもを結び直している間、凱斗は周りを見回し、来週の予定を指で数えた。「会える日は少ないけど、短くてもいい」と言うと、小春は「短いほど大事にする」と返して、目を合わせた。
 小春が靴ひもを結び直している間、凱斗は周りを見回し、来週の予定を指で数えた。「会える日は少ないけど、短くてもいい」と言うと、小春は「短いほど大事にする」と返して、目を合わせた。
 帰り道、凱斗は「次は小春のやりたいことを先に聞く」と言った。小春は少し考えてから、メガネ拭きを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の笑い声が、しばらく耳に残った。 小春は笑ってうなずき、凱斗の袖を軽く引いた。
【終】