第53話 トースターで近づく距離
(獅子座君♂x獅子座ちゃん♀)
冬の息が白い朝、商店街の惣菜コーナー前で、校庭に風が走っていた。星奈はエプロンのひもを結び直し、駿介は袖をまくった。
二人だけの合図ができたばかりの頃、二人は「まずは一回、成功させよう」と小さく笑い合う。今日やるのは夕飯の手伝いをする。
鍵になるのがトースターで、手順がずれると味も形も崩れる。星奈は「できるかな」と首をかしげた。
途中で星奈が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、駿介は立ち止まる。
実は駿介は昨日、同じトースターをもう一つ用意していた。理由は、星奈が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。駿介は「うまくいくに決まってる」と言いながら、そっと手渡した。
星奈は受け取り、しばらく黙ったあと、「うまくいくに決まってる」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。駿介は「じゃ、今使おう」と前を向き、星奈はその背中に小さく「うん」と重ねた。
片づけの最中、トースターが机から転がりそうになり、駿介が反射で押さえた。その手の速さに星奈が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。駿介は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
片づけの最中、トースターが机から転がりそうになり、駿介が反射で押さえた。その手の速さに星奈が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。駿介は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
帰り道、駿介は「次は星奈のやりたいことを先に聞く」と言った。星奈は少し考えてから、トースターを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の同じ方向へ進む気持ちが、静かに重なった。
【終】
(獅子座君♂x獅子座ちゃん♀)
冬の息が白い朝、商店街の惣菜コーナー前で、校庭に風が走っていた。星奈はエプロンのひもを結び直し、駿介は袖をまくった。
二人だけの合図ができたばかりの頃、二人は「まずは一回、成功させよう」と小さく笑い合う。今日やるのは夕飯の手伝いをする。
鍵になるのがトースターで、手順がずれると味も形も崩れる。星奈は「できるかな」と首をかしげた。
途中で星奈が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、駿介は立ち止まる。
実は駿介は昨日、同じトースターをもう一つ用意していた。理由は、星奈が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。駿介は「うまくいくに決まってる」と言いながら、そっと手渡した。
星奈は受け取り、しばらく黙ったあと、「うまくいくに決まってる」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。駿介は「じゃ、今使おう」と前を向き、星奈はその背中に小さく「うん」と重ねた。
片づけの最中、トースターが机から転がりそうになり、駿介が反射で押さえた。その手の速さに星奈が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。駿介は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
片づけの最中、トースターが机から転がりそうになり、駿介が反射で押さえた。その手の速さに星奈が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。駿介は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
帰り道、駿介は「次は星奈のやりたいことを先に聞く」と言った。星奈は少し考えてから、トースターを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の同じ方向へ進む気持ちが、静かに重なった。
【終】


