第52話 折りたたみ傘で丸くなる角
(獅子座君♂x蟹座ちゃん♀)
朝練のあと、学校の屋上で、薄い雲が流れていた。二人で歩くと、風の匂いまで違って感じた。
二人だけの合図ができたばかりの頃、皇輝は「任せて」と笑い、友梨は「うん」と小さく返す。
今日は頼まれごとを終える。二人の間に折りたたみ傘がそっと置かれていた。それが始まりの合図だ。
取りかかった瞬間、思わぬ引っかかりが出てきた。友梨が「ここ、引っかかる」と指さす。皇輝は返事の代わりにうなずき、折りたたみ傘を手に取った。
皇輝は堂々と宣言して動く。力の入れ方を見せてから、友梨の手の上に自分の手をそっと重ね、「このくらい」と角度を示す。友梨は相手の顔色を確かめる、真剣な目で真似をした。
うまくいった瞬間、友梨の口から「寒くない?」がこぼれた。皇輝は「でしょ」と笑い、でも目線は外して照れを隠す。二人の間に残ったのは、道具の音と、少し早い鼓動だった。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。友梨が「今日は助かった」と言うと、皇輝は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
最後の確認をしていると、友梨が「ありがとう」とはっきり言った。皇輝は返事の代わりにうなずき、少しだけ指先で友梨の袖をつまむ。誰にも見えない小さな合図が、二人には十分だった。
帰り道、皇輝は「次は友梨のやりたいことを先に聞く」と言った。友梨は少し考えてから、折りたたみ傘を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の帰り道が、いつもより明るく見えた。 友梨は笑ってうなずき、皇輝の袖を軽く引いた。
【終】
(獅子座君♂x蟹座ちゃん♀)
朝練のあと、学校の屋上で、薄い雲が流れていた。二人で歩くと、風の匂いまで違って感じた。
二人だけの合図ができたばかりの頃、皇輝は「任せて」と笑い、友梨は「うん」と小さく返す。
今日は頼まれごとを終える。二人の間に折りたたみ傘がそっと置かれていた。それが始まりの合図だ。
取りかかった瞬間、思わぬ引っかかりが出てきた。友梨が「ここ、引っかかる」と指さす。皇輝は返事の代わりにうなずき、折りたたみ傘を手に取った。
皇輝は堂々と宣言して動く。力の入れ方を見せてから、友梨の手の上に自分の手をそっと重ね、「このくらい」と角度を示す。友梨は相手の顔色を確かめる、真剣な目で真似をした。
うまくいった瞬間、友梨の口から「寒くない?」がこぼれた。皇輝は「でしょ」と笑い、でも目線は外して照れを隠す。二人の間に残ったのは、道具の音と、少し早い鼓動だった。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。友梨が「今日は助かった」と言うと、皇輝は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
最後の確認をしていると、友梨が「ありがとう」とはっきり言った。皇輝は返事の代わりにうなずき、少しだけ指先で友梨の袖をつまむ。誰にも見えない小さな合図が、二人には十分だった。
帰り道、皇輝は「次は友梨のやりたいことを先に聞く」と言った。友梨は少し考えてから、折りたたみ傘を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の帰り道が、いつもより明るく見えた。 友梨は笑ってうなずき、皇輝の袖を軽く引いた。
【終】


