第50話 塩こしょうとふたりの手
(獅子座君♂x牡牛座ちゃん♀)
夏休みの初日、乃愛の家の台所で、日差しがまぶしかった。乃愛はエプロンのひもを結び直し、斗真は袖をまくった。
二人だけの合図ができたばかりの頃、二人は「まずは一回、成功させよう」と小さく笑い合う。今日やるのはお弁当の準備をする。
鍵になるのが塩こしょうで、手順がずれると味も形も崩れる。乃愛は「できるかな」と首をかしげた。
二人が動き出すと、近くの友だちが「手伝う?」と声をかけてきた。斗真は「見てて、きれいにする」と返し、役割をぱっと分ける。
乃愛は相手のペースに合わせて待つ、苦手そうな子の隣へ回って、やり方を静かに見せた。中心にある塩こしょうは順番を守らないと失敗する。焦った誰かが先に触れてしまい、少しだけやり直しになりかけた。
そのとき斗真が「一回止めよう」と手を上げ、乃愛が「ここから」と指で道を作った。二人の声は違うのに、向いている先が同じだった。終わったあと、友だちは「息ぴったりだね」と笑い、二人は同時に顔を赤くした。
片づけの最中、塩こしょうが机から転がりそうになり、斗真が反射で押さえた。その手の速さに乃愛が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。斗真は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。乃愛が「今日は助かった」と言うと、斗真は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
帰り道、斗真は「次は乃愛のやりたいことを先に聞く」と言った。乃愛は少し考えてから、塩こしょうを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の胸の奥が、ふっと軽くなった。
【終】
(獅子座君♂x牡牛座ちゃん♀)
夏休みの初日、乃愛の家の台所で、日差しがまぶしかった。乃愛はエプロンのひもを結び直し、斗真は袖をまくった。
二人だけの合図ができたばかりの頃、二人は「まずは一回、成功させよう」と小さく笑い合う。今日やるのはお弁当の準備をする。
鍵になるのが塩こしょうで、手順がずれると味も形も崩れる。乃愛は「できるかな」と首をかしげた。
二人が動き出すと、近くの友だちが「手伝う?」と声をかけてきた。斗真は「見てて、きれいにする」と返し、役割をぱっと分ける。
乃愛は相手のペースに合わせて待つ、苦手そうな子の隣へ回って、やり方を静かに見せた。中心にある塩こしょうは順番を守らないと失敗する。焦った誰かが先に触れてしまい、少しだけやり直しになりかけた。
そのとき斗真が「一回止めよう」と手を上げ、乃愛が「ここから」と指で道を作った。二人の声は違うのに、向いている先が同じだった。終わったあと、友だちは「息ぴったりだね」と笑い、二人は同時に顔を赤くした。
片づけの最中、塩こしょうが机から転がりそうになり、斗真が反射で押さえた。その手の速さに乃愛が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。斗真は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
終わったあと、二人は自販機の前で立ち止まった。乃愛が「今日は助かった」と言うと、斗真は照れたように頬をかき、「次はもっと上手くやれる」と返した。缶の温度が手のひらに移って、言葉も少し柔らかくなる。
帰り道、斗真は「次は乃愛のやりたいことを先に聞く」と言った。乃愛は少し考えてから、塩こしょうを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の胸の奥が、ふっと軽くなった。
【終】


