第36話 ポリ袋で近づく距離
(双子座君♂x魚座ちゃん♀)
帰り道の夕焼け、学校の屋上で、薄い雲が流れていた。同じ帰り道でも、隣に誰かがいるだけで色が変わる。
告白の答えを伝えた翌週、奏太は「ねえ、これ知ってる?」と笑い、結海は「うん」と小さく返す。
今日は一緒に練習する。机の上のポリ袋が、二人だけの合図になっていた。
途中で結海が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、奏太は立ち止まる。
実は奏太は昨日、同じポリ袋をもう一つ用意していた。理由は、結海が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。奏太は「それ、面白くない?」と言いながら、そっと手渡した。
結海は受け取り、しばらく黙ったあと、「気持ち、わかる」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。奏太は「じゃ、今使おう」と前を向き、結海はその背中に小さく「うん」と重ねた。
帰り道の途中、奏太は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。結海は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。奏太は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
結海は歩きながら、ふとポリ袋を見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。奏太が「うん」と待つと、結海は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
帰り道、奏太は「次は結海のやりたいことを先に聞く」と言った。結海は少し考えてから、ポリ袋を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の言いかけた言葉が、ちゃんと形になった。 結海は笑ってうなずき、奏太の袖を軽く引いた。
【終】
(双子座君♂x魚座ちゃん♀)
帰り道の夕焼け、学校の屋上で、薄い雲が流れていた。同じ帰り道でも、隣に誰かがいるだけで色が変わる。
告白の答えを伝えた翌週、奏太は「ねえ、これ知ってる?」と笑い、結海は「うん」と小さく返す。
今日は一緒に練習する。机の上のポリ袋が、二人だけの合図になっていた。
途中で結海が鞄をごそごそ探して、困ったように肩をすくめた。「あ、持ってくるの忘れた」——その一言で、奏太は立ち止まる。
実は奏太は昨日、同じポリ袋をもう一つ用意していた。理由は、結海が前に「これがあると助かるんだ」と言ったのを覚えていたから。奏太は「それ、面白くない?」と言いながら、そっと手渡した。
結海は受け取り、しばらく黙ったあと、「気持ち、わかる」と笑った。声は小さいのに、胸の中がじんわり温かくなる。奏太は「じゃ、今使おう」と前を向き、結海はその背中に小さく「うん」と重ねた。
帰り道の途中、奏太は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。結海は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。奏太は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
結海は歩きながら、ふとポリ袋を見つめた。「これって、ただの道具なのにさ」と言いかけて止まる。奏太が「うん」と待つと、結海は小さく笑い、「一緒に使うと、思い出になるね」と続けた。
帰り道、奏太は「次は結海のやりたいことを先に聞く」と言った。結海は少し考えてから、ポリ袋を軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の言いかけた言葉が、ちゃんと形になった。 結海は笑ってうなずき、奏太の袖を軽く引いた。
【終】


