第33話 くしで丸くなる角
(双子座君♂x射手座ちゃん♀)
五月の雨上がりの朝、商店街で、雨粒の名残がアスファルトに光っていた。肩が触れそうな距離で歩くと、見慣れた道が新しく見えた。
告白の返事をした次の週、隼人は「ねえ、これ知ってる?」と笑い、佳那は「うん」と小さく返す。
今日は頼まれごとを終える。机の上にくしが置かれていた。今日はそれが鍵になる。
作業の途中、隼人のスマホが鳴った。画面の通知を見た佳那は、一瞬だけ黙る。昨日の返事が来ていないままだったことを思い出したのだ。
隼人は慌てて説明しようとして、言葉が絡まる。そこでくしを持ち上げ、「今はこれを一緒にやりたい」と言い直した。逃げずに言い切ったのが、自分でも意外だった。
佳那は深呼吸して、失敗しても笑って切り替える。二人で手を動かし、くしが役目を終えるころには、空気の角が丸くなっていた。最後に隼人が「送れてなかった」と画面を見せると、佳那は「じゃあ、今日の分は目の前で言う」と笑い、短く「好き」と言った。
片づけの最中、くしが机から転がりそうになり、隼人が反射で押さえた。その手の速さに佳那が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。隼人は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
帰り道の途中、隼人は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。佳那は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。隼人は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
帰り道、隼人は「次は佳那のやりたいことを先に聞く」と言った。佳那は少し考えてから、くしを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の小さな合図が、ちゃんと届いた。
【終】
(双子座君♂x射手座ちゃん♀)
五月の雨上がりの朝、商店街で、雨粒の名残がアスファルトに光っていた。肩が触れそうな距離で歩くと、見慣れた道が新しく見えた。
告白の返事をした次の週、隼人は「ねえ、これ知ってる?」と笑い、佳那は「うん」と小さく返す。
今日は頼まれごとを終える。机の上にくしが置かれていた。今日はそれが鍵になる。
作業の途中、隼人のスマホが鳴った。画面の通知を見た佳那は、一瞬だけ黙る。昨日の返事が来ていないままだったことを思い出したのだ。
隼人は慌てて説明しようとして、言葉が絡まる。そこでくしを持ち上げ、「今はこれを一緒にやりたい」と言い直した。逃げずに言い切ったのが、自分でも意外だった。
佳那は深呼吸して、失敗しても笑って切り替える。二人で手を動かし、くしが役目を終えるころには、空気の角が丸くなっていた。最後に隼人が「送れてなかった」と画面を見せると、佳那は「じゃあ、今日の分は目の前で言う」と笑い、短く「好き」と言った。
片づけの最中、くしが机から転がりそうになり、隼人が反射で押さえた。その手の速さに佳那が笑い、「そういうとこ、好き」とさらりと言う。隼人は耳まで赤くしながら「今のは反則」と小声で返した。
帰り道の途中、隼人は急に立ち止まり、ポケットから小さな紙を出した。そこには『今日のよかったところ』が三つ書いてある。佳那は吹き出し、「宿題みたい」と笑う。隼人は「忘れたくないだけ」と言い、紙を二人の間に挟んだ。
帰り道、隼人は「次は佳那のやりたいことを先に聞く」と言った。佳那は少し考えてから、くしを軽く振って合図する。「じゃあ、また一緒に使おう」。その一言で、二人の小さな合図が、ちゃんと届いた。
【終】


